はじめに

不況のために「現金」を準備しておく

――ちなみに今年の8件は融資を受けて購入したのでしょうか? 銀行も今は簡単に融資をしなさそうですが……

ですよね。実際、今年の8件はすべて現金で買いました。でも、これはたまたま現金があったからではないんです。むしろ、こういった不況時のために準備しておいたから。日頃からこの時期に現金が手元にあるよう戦略を練ってきたからです。

――どういうことですか?

あくまで個人的な感覚ですが、市況が上がっている時期、上げ相場のときは銀行の融資も通りやすいと言えます。その時期は、融資を積極的に活用して物件を買います。あわせて、この時期に手元の現金も増やしておきます。増やした現金はすぐに使いません。不況が来たら、融資が通りにくい時期ですから、貯めておいた現金で物件を買うのです。そのときのために日頃から手元資金には手を付けず、融資を利用することによって、現金を貯めておくのです。

――現金を貯めると言っても、どうやるのでしょうか。

それは融資におけるテクニックにも通じます。不動産投資家が融資を受けるとき、銀行は2つの数字に着目します。

1つ目が「バランスシート」。その人の資産と負債(借金)のバランスを見るもので、資産が上回っているほど銀行は融資しやすくなります。

2つ目は「キャッシュフロー」。毎月の家賃収入と借金返済のバランスです。こちらは家賃が返済を上回ることが条件です。実際は、税金や管理費などで収入はもっと少なくなるし、空室リスクもあるので。理想は、家賃収入に対する返済の割合(返済比率)が50%くらい。

今回大切なのは、バランスシートの方です。実は融資を受けて物件数を増やしていくと、だんだんバランスシートが悪くなってくるのです。

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