はじめに

2020年9月から厚生年金保険の上限額が上がった!

標準報酬月額の変更は毎年9月分の社会保険料からですが、それに加えて2020年からは厚生年金のみ標準報酬月額の上限が1等級増えて、32等級65万円ができました。

今年はその影響もあるので、報酬月額が63万5,000円以上の人は、算定基礎届によって標準報酬月額が上がった影響に加えて、さらに厚生年金保険料が増えて手取りが減ってしまったことになっているでしょう。

2020年8月分までは報酬月額が60万5,000円以上なら、報酬月額がいくらであっても31等級62万円で厚生年金保険料の個人負担は5万6,730円でした。

それが2020年9月分からは、報酬月額が63万5,000円以上の人は標準報酬月額が65万円となり、厚生年金の保険料の個人負担が5万9,475円になります。月々の負担は2,745円増加します。

厚生年金は老後の生活費となる老齢厚生年金や、遺族への収入保障となる遺族厚生年金、障害を負ったときの収入補填となる障害厚生年金の額と連動しています。

単純には、厚生年金加入期間中の賞与も含む「平均標準報酬額」と加入月数の掛け算になるので、加入月数が同じであれば平均報酬が多い方が計算される年金は大きくなります。

厚生年金の標準報酬月額の下限と上限が健康保険に比べてある程度幅が狭くなっているのは、最低等級と最高等級にあまりに差があると、長年受給し続ける可能性のある年金に、大きな差があることを避けるためと思われます。

世の中の報酬が上がっていくと今回のように上限額の引き上げが行われます。該当する人は多くないかもしれませんが、実際に対象となった人にすればなぜ高額所得者だけと思うかもしれません。

しかし、これは標準報酬月額の上限は全加入者の平均標準報酬月額の2倍を目途にしており、継続して下回る場合は引き上げるというルールに従った措置で、このようなしくみになっていることは、知っておく必要があると思います。


給料は、口座にいくら振り込まれたかしか関心がなく、給与明細を見ないという人が多くいます。また社会保険料の計算や手続きは、会社がすべて行ってくれているので、社会保険料の計算方法を全く知らないという人も多いのが実情です。

しかし、社会保険料は「保険」である以上、標準報酬月額によって補償の額が変わるので、自分や家族の所得補償や、老後の暮らしに大きく関係します。無関心でいるのはとても危険です。

給与明細を毎月ちゃんと確認しよう、社会保険料の計算の仕方をさらに深く知ろうと感じて頂けること願っています。

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