はじめに
生活費を見直せる箇所はあるか
現在、52万円の手取り金額から42万円の生活費を差し引いて毎月10万円を貯蓄されています。現時点で1,900万円の貯蓄があるのも立派です。全体として良好な家計といえそうです。
ただ、これからは「私の収入や現預金で対応できるかどうか」とのことですので、今後奥様が退職し、収入を見込まないという前提で考えてみます。
毎月の世帯手取り52万円のうち奥様の収入の14万円を差し引くと38万円。今後は毎月の貯蓄はできず、さらに4万円の赤字となってしまいます。そこで、毎月の支出項目を点検すると、大きなムダは見当たりませんが、2つの項目(食費、通信費)が気になりました。
4人家族とはいえ、お子さんの年齢の割に食費(9万円)の割合が高いと感じました。購入した食品を無駄にしていないでしょうか。買い物の前に冷蔵庫を確認する習慣をつけましょう。外食の回数はどうでしょうか。中食(惣菜の購入やデリバリー)に頼りすぎていないでしょうか。お子さん3人の成長に伴い、今後食べる量はどんどん増えます。今のうちに食生活を見直しましょう。
通信費の内訳は、主に自宅のインターネット環境とご夫婦のスマートフォン利用料と思われます。特にスマートフォンについては、利用プランを見直したり、格安スマホに乗り換えたりするなどを検討しましょう。いずれお子さんがそれぞれスマートフォンを持つようになると、通信費も高額になりがちです。しっかり情報収集してムダをなくしましょう。
ただ、食費も通信費も今はいったん減額できたとしても、将来は増加する項目と考えられます。
いただいた資料の中で、最も気になる項目は、ボーナスの使途です。年間ボーナス250万円から100万円を貯蓄されていますが、残りの150万円の使い道が不明ですね。冠婚葬祭費用、家族旅行等の予備費が必要としても、しっかり管理して使途不明金をなくすようにしましょう。
夫のみの収入で住宅を購入できるか
上記2項目(食費、通信費)の見直しとボーナスからの補填で、毎月4万円の赤字を埋め、ボーナスの使途不明金150万円のうち半分の75万円を予備費とし、残りを貯蓄に回すと仮定して2年後の住宅購入に向けて試算をしてみましょう。
現在の家賃(14万7,000円)程度をそのまま住宅ローンの月返済額とし、返済期間20年、ボーナス返済なし、住宅ローン金利を1.21%(【フラット20】融資率9割以下、2020年10月現在)としてシミュレーションすると、借入限度額は約3,100万円です。
※知るぽると「しっかりシミュレーション」(金融広報中央委員会)による
前提1)ご相談者の手取り金額は55歳まで前年の1%上昇するとする。その後、定年(65歳)まで昇給しないとする
前提2)世帯の手取りボーナス額は現状維持で60歳まで受け取るとする
前提3)奥様は将来復職しない
前提4)生活費は現状維持とする
前提5)住宅購入の頭金は預貯金から1,500万円を充当する
前提6)住宅購入後の維持費(管理費、固定資産税等)を年間50万円とする
これらを前提に先ほど試算した教育費を加味したグラフが以下の通りです。
住宅購入価格を4,500万円(頭金1,500万円+住宅ローン3,000万円)としても、2人目のお子さんが大学生になる前に貯蓄が底をつき、マイナスの家計になってしまいます。試算では、ご相談者のみの収入で住宅の購入も教育費の準備も大変厳しいということになります。
新型コロナ禍でもあり、社会情勢や勤務先の業績等により給与額やボーナス額は、今回の試算よりも悪化する可能性がある“見通せない”部分です。一方で、お子さんの教育費は、その時期が来れば必要になる“見通せる”部分です。
もちろん、子どもの大学にかかる費用をすべて親が負担しなければならない訳ではありません。お子さんと相談して、お子さん自身が奨学金を利用するという考え方もあります。