はじめに
「誰もが知っている大企業で働きたい!」「本当に優秀な人材はベンチャーに行くべきだ」……「大企業とベンチャー企業、どちらを選ぶべきなのか?」は誰もが一度は考えたことある問題でしょう。悩んでもなかなか正解が見つからないこの問題の考え方を『前向きに悩む力』の著者・午堂登紀雄さんに聞いてみました。
大企業とベンチャー、結局どちらを選ぶのが正解?
転職や就職といった人生の岐路において、「どちらを選ぶべきか」で迷い悩む人は多いと思います。
私の経験上、結論は「どちらを選んでも大差ない」です。
どちらを選んだとしても、うまくいく人はそれなりに満足度の高い結果になるし、うまくいかない人はどちらを選んでもやはりそれなりの結果にしかならない。だから仮に迷ったとしも、「そこで自分は何をするのか」「自分がやりたいことができるのか」という主体的な意識と、「ワクワクするか」という直感で選ぶしかないと考えています。
「なにか起こるかも」ではなにも変わらない
迷う人は、「環境が自分を変えてくれるのではないか」「環境が自分に何かを与えてくれるのではないか」「(根拠はないけど)何かいいことがあるのではないか」と、外部環境に依存している可能性があります。
たとえば、「大手企業に行けば、何かすごいプロジェクトに任命されて、大きな仕事ができるかもしれない」とか、「ベンチャーに行けばなんでも任せてもらえて、若くして役員に抜擢されるかもしれない」など、「他人が何かしてくれるかもしれない」という根拠のないスケベ心です。
これはキャリアに行き詰まった人が、海外留学やインド旅行をするメンタリティに似ています。「そこに行けば変われるんじゃないか」という、これまた根拠のない変身願望です。
でも結局、そのときはいったん逃避できたものの、帰国して現実に引き戻されたとき、自分と自分を巡る環境は何も変わっていないことにがく然とします。
それどころか、明確な目的や戦略を持たず勢いに任せて行ってしまったため、一貫性のない旅行や留学であることが人事部の人間や面接担当者にはバレバレで、むしろ再就職の足かせになったりする危険性すらあります。