はじめに
「キャリアコンセプト」を明確にする
そうならないよう、キャリアの選択で迷ったら、まず自分の「キャリアコンセプト」を明確にしておく必要があります。
たとえば、いったい自分は何をしているときが充足感を感じるのか。その適性を活かしてどのような仕事をするのが納得できそうかを明らかにすることです。むろんそれは知識や経験で変遷していくものですが、その時々で考え続ける必要があります。
たとえば私の場合、詳細は後述しますが、最初の就職で失敗したのは、「とりあえず日商簿記検定1級を持っているから、就職するなら会計事務所かな」という安易な選択をしたことも理由としてあると思います。
つぎの転職では、みじめさを払しょくするために「優秀な人が行かない未完成の会社」を選び、そのつぎの転職では、「とにかく自分を徹底的に鍛えられる仕事」を選びました。
まずは「自分の性格」を知ることから
同時に、自分の性格と傾向をよく知り、環境が自分に何かをしてくれると期待するのではなく、どういう環境であれば自分の素のままで仕事ができるかを考える。たとえば私の場合、人見知りで自己主張が苦手なので、人間関係が濃くなりがちな少人数ベンチャーよりも、一人ひとりの個性が埋没しやすい大企業のほうが過ごしやすかったりします。
中小零細企業では人間関係が固定しがちですが、私のように対人関係でつまずきがちな人は、異動などがあり人間関係がリセットされやすい環境のほうが合っていました。そういうキャリアコンセプトを持たないと、自分の価値観や特性に根差した職業選択ができなくなります。
すると、会社名とか給料とか、ネームバリューや雰囲気などの他人の価値観で選んでしまうことになりかねません。大学生を対象にした「就職したい会社ランキング」が典型例で、なんとなく有名で、周囲に自慢できて、福利厚生が手厚くて、安定していて……みたい選び方です。
それこそまさに就職ではなく「就社」であり、やりたくもない仕事をさせられ不満を持ち、3年以内で退職、みたいになってしまう。環境やスペックにこだわった職業選択ではいずれ行き詰まる可能性が高いのです。