はじめに

向いてない仕事×パワハラで「ウツ」寸前に……

などと偉そうに言っている私ですが、もちろん私も迷い悩んできました。大学時代に見つけた目標である「公認会計士」の試験は不合格、受験が4年生の夏だったこともあり、就職活動にはすっかり乗り遅れ、就職先が決まらないまま卒業。卒業後はとりあえずフリーターを続けましたが、私がバイトを選ぶ基準は、「ひとりで黙々とできる仕事」や「人間関係がまっさらな仕事」でした。前述のとおり、人見知りで引っ込み思案ゆえに、対人関係が苦手だったからです。

そのため選んだのは「ビル清掃」とか居酒屋の「新店オープニングスタッフ」でした。前者はひとりで黙々ででき、後者はすでに出来上がった人間関係のなかには入れないと思ったからです。

そしてようやく会計事務所に就職するわけですが、入社してすぐ計算ミスを繰り返すようになり、何度確認してもミスがなくならない。結局は早々と「使えねえヤツ」という評価を受けるようになってしまいました。そもそも自分はわりと雑な性格なので「1円を合わせるような細かい業務」は向いてなかった。

ミスをしては怒られ、終業後も居酒屋に呼び出されては説教の毎日。ストレスで朝が起きられなくなり、遅刻してさらに怒られる始末。私は生気を失い口数も少なくなり、ウツ寸前でした。

そして、1年後、またミスして所長と上司に呼び出され「どうするんだ!」と問い詰められ、「はい……辞めます」と力なく答えることしかできませんでした。

自分が納得する仕事なら不安でも頑張れる

つぎに選んだのはコンビニですが、面接を受け3社に受かりました。

ではどこにするか。

最も後発の上場二部企業(のちに一部上場)を選びました。なぜなら、最後発ゆえに業務手順などが十分に固まっておらず、自分でも何か貢献できるんじゃないか、前回のみじめさを払しょくするには、完成された仕事で回っている会社ではなく、仕事が発展途上の企業のほうが、生き残れるんじゃないか、という発想です。

この選択はビンゴで、がんばればがんばるほど結果が出て、評価されるようになりました。

そしてつぎの転職先に選んだのは経営コンサルティングの世界。いくつか受かりましたが、自分のキャリアがどうとか、年収がどうとかではなく、自分を鍛えるには戦略系しかないと、年収ダウンでも階級は新卒と一緒でもそこを選びました。

入社当時はなかなかついていけず、いつクビになるやらと不安でしたが、それでも歯を食いしばって続けるうち、それなりの評価をいただけるようになり、退職したときの年収は入社時の2倍になっていました。

もちろん、コンビニにしろコンサルにしろ、別の会社を選んでいたらなら、それはそれでまた違った結果に(たとえばいまよりも大成功とか)なったかもしれませんが、同時に別の道を選ぶことはできないのでわかりません。

しかし、どの道を選んだとしてもそれなりにやっただろうなあと思います。なぜなら、どの仕事を選んでも自分が納得できる仕事をするだろうと思うからです。つまり冒頭の話に戻りますが、「たいして変わらない」というのは、自分の適性を活かし納得する仕事をすれば、それなりに幸福や充足を感じるので結果オーライになる、というわけです。

自分なりの解決法が見つかる 前向きに悩む力 午堂 登紀雄 著

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(この記事は日本実業出版社からの転載です)

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