はじめに

人材派遣業界の悲しいブラックが

冒頭で書いた派遣先の企業は、私が新卒で入社して、足掛け半年ほど営業をかけたクライアントでした。担当していたエリアでは大手の企業で、かなりのニーズも見込める。でも、他社が先駆けてシェアを構築していたので、何とか入り込めないかと足しげく通ったものでした。半年たって担当者に「分かった、分かった。じゃあ依頼を出すよ」と熱意が認められ受注することができ、ようやく契約に。「やっと取引ができますね!」と温かい言葉をもらったのを覚えています。

しかし、やっと契約にこぎつけたものの、雇用契約が決まった派遣社員さんが1日で辞めたいということに……。もちろん企業とのサービス契約は1日で消滅。なんと悲しい結末でしょう。どれだけ一生懸命にクライアントに営業をかけたとしても、派遣社員が辞めてしまえばサービス契約が吹き飛んでしまう。ここに人材派遣業界の悲しいブラックがあるのではないかと思いました。

ベテラン社員はそれを見抜く力がある

このブラックをどう扱うか。実はここに人材派遣業の営業職の腕の見せ所があります。ベテランになればなるほど、このマッチングの精度が高まっていきますし、結果的にトラブルが発生する率も低くなっていくのです。

例えば依頼を受けた際、派遣先で行う仕事内容のヒアリングを行いますが、これを正しく聞き出すのが意外に難しい。経験を積めば積むほど仕事内容の把握が上手くなっていきます。派遣先の仕事内容に合う人選(マッチング)も成功率が高まります。依頼内容の仕事と全く同じ経験を積んでいる人ばかりが潤沢に登録しているわけではありませんから、足りないものをどう補って企業に紹介するのか。腕の見せ所です。そして、候補にあがっている派遣社員への仕事内容の説明も当然差が出ます。トラブルの可能性を感じるものをあらかじめ候補の派遣社員に説明をするのですが、ポイントの抑え方もうまくなります。「辞めたくなる理由」を事前に見つけ出してつぶしておくのがベテランの方が上手いんです。

とはいえ、ベテランといえども「どうしようもない“辞めたい”トラブル」はそれでもやっぱり起こります。そのたびにみんな頭をかかえています(笑)。