はじめに

日経平均が2万6,000円台まで上昇しています。1991年以来29年ぶりの高値です。読者の中には、この価格が見たこともない高値に映る方もおられるでしょう。

では、29年前はどのような状況だったのでしょうか。当時の世相を振り返りながら、来年の株価について考察してみましょう。


バブル崩壊直後の世相は…?

1991年、株式市場に関連するところでは、損失補填問題から証券会社のトップ辞任が相次ぎました。国際的には湾岸戦争やソ連の崩壊などエポックメイキングなことが起きた年でした。

芸能関係ではクィーンのボーカリスト、フレディ・マーキュリーさんが亡くなり、国内ではKAN「愛は勝つ」尾崎豊「I Love You」槇原敬之「どんな時も」などがヒットしました。

テレビドラマでは織田裕二さんと鈴木保奈美さん主演の月9ドラマ「東京ラブストーリー」が大きなブームとなりました。平均視聴率は20%を超え、早く帰ってドラマを見ようと月曜の夜は街から若い女性の姿が消えたほどでした。

それほどの大ヒットを記録した「東ラブ」ですが、織田さん鈴木さん主演の新作ドラマ「SUITS/スーツ」の番宣のため、2年前に再放送された時はまったく視聴率があがらなかったのです。無理もないでしょう、時代が違い過ぎるのです。

このドラマは主人公ふたりのすれ違いにヤキモキさせられるのが醍醐味でした。たとえばメモがなくなって連絡が伝わらずに大雨の中、待ちぼうけする…なんて現代では考えられないシチュエーションがあります。今の若者からみれば、「LINEすればよくない?」で片づけられてしまいそうですが、当時は携帯電話なんてものはなかったのですから仕方ありません。(厳密なことを言えば当時も携帯はありましたが、現代のものから見れば巨大で高価なものでした)。

この30年間、テクノロジーの発展によって私たちの暮らしは格段に便利になりました。時代は確実に進歩しています。「先に進む」という意味で進歩していないのは株価です。2万6,000円といってもまだ最高値の3分の2を戻したに過ぎないのです。

2万6,000円は1991年以来と述べましたが、より詳細には1991年5月以来です。1991年5月と言えば、お立ち台に扇子で知られるディスコ「ジュリアナ東京」がオープンした時です。「ジュリアナ東京」はバブルの象徴のように扱われることが多いですが、実はジュリアナがオープンした時は既にバブルは弾けた後だったのです。

ここから言えることは何でしょうか。バブルは弾けた後でないとわからない、と言いますが、弾けた後も相当時間が経ってからでないとわからない、ということではないでしょうか。株価のピークは1989年末の3万8,915円。ジュリアナのオープンはその1年半後。

株価がすでに3分の1を吹き飛ばした時点で、人々はまだ狂騒の中で踊っていたのですから。

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