はじめに
夫婦共働きで手取り276万円。貯蓄は収入アップを目指したい
夫婦で共働きをしているご相談者さんですが、役員報酬はそれぞれ15万円の設定です。ふたりあわせて30万円になりますが、そこから税金や社会保険料を差し引いた手取り月収は23万円に。ボーナスもないため、年間の手取り年収はふたりで276万円です。
家計の内訳を見る限り、大きな無駄はありません。あえて言うなら、手取り23万円に対して保険料が1万6,000円はやや負担が重い気もします。自営業者は会社員よりも手厚い保障が必要ですから、共済やネット保険等を活用して、必要な保障を確保しつつも、目先の保険料を抑える工夫をしてみましょう。
家計のやりくりに大きな問題はなく、毎月2万4,000円ずつ貯めているものの、お二人が保有する金融資産は109万円と心細い状況です。また、預貯金が少ないにもかかわらず住宅ローンやオートローンなどを抱えていて返済が多いという点がこの家計の問題点といえるでしょう。
出産・子育ては公的制度の活用を
子どもを産み育てることについて、大きな不安を持っているようですが、そこはやり方次第です。
出産費用に関しては、健康保険から子ども1人につき42万円の「出産育児一時金」が支給されます。妊娠中の健診費用についても多くの自治体から補助が出ています。そのため、大学病院やこだわりの病院を選択しない限り、妊娠・出産の自己負担額は10〜20万円程度を見ておけばいいと考えられます。
なお、会社員で勤務先の厚生年金+健康保険に加入している場合には、出産前後の産休中には「出産手当金」、育児休業中には「育児休業給付金」が支給されます。一方、個人事業主の場合にはこれらが支給されません。また、会社を設立して、厚生年金+健康保険に加入している場合には、会社員と同じく支給対象になりますが、会社設立でも国民年金+国民健康保険に加入している場合には支払い対象外となります。支給されない場合には、産後間もないうちに仕事に戻るなどして、仕事や生活を回していく必要があります。親御さんの手助けなども受けながら、工夫をして乗り切っていきましょう
2019年10月からは「幼児教育無償化」が始まって、3歳以降の幼稚園・保育園代が無償化されています。幼稚園のお弁当代や通園バス代、教材費などは自己負担となりますが、未就学期間の教育費は、これによりずいぶんと負担軽減されました。
高等教育への補助も拡充している
このほかにも、子育て世代の経済的負担を軽減する制度が多数登場しています。例えば、令和2年4月からは高等学校等就学支援金制度が拡充されて、「私立高校等授業料実質無償化」がスタートしました。これまでは公立・私立に関わらず所得が一定以下であれば、公立高校の授業料相当額である年間11万8,800円の負担が軽減されていました。そのため、私立に通う場合には差額分について自己負担が必要でしたが、令和2年からは私立高校に通う場合で所得が一定以下の家庭では、高校の学費が年間39万6,000円まで補助されています。
同じく令和2年度より、大学や専門学校の入学金・授業料の減免を行う「高等教育の就学支援新制度」ができています。ただし、こちらはまだ狭き門なので、あまり期待しない方がいいでしょう。
子ども手当を全て貯めると160万円
大学資金の貯め方ですが、子どもが生まれたら、国から児童手当が支給されます。0〜2歳は月額1万5,000円、3歳から12歳(中学校卒業まで)は月額1万円のため、すべて貯めると160万円以上になります。大学に向けてはこうしたお金も活用しつつ、大学入学時に少なくとも300万円を貯めておくようにしましょう。ただし、私立大学の場合には4年間で500万円以上が必要になります。大学入学までに用意しきれなかった分は、大学入学後も家計から捻出するか、子ども自身が奨学金を利用するなどいくつかの選択肢があります。