はじめに

今回のコロナ禍においては、企業の資金調達も2008年の世界金融危機時よりも容易であり、今のところ、2008年の世界金融危機の後に起こったような不動産の投げ売りは生じていません。各国の中央銀行は金融緩和姿勢を取り続ける見込みで、不動産にとってはプラス要因となる低金利も継続するとみられています。金融環境としては不動産の価格はさらに上昇する方向に動きやすい状況といえるでしょう。また、今後も「買い主が売り主の希望価額分の資金を調達できない状況」や、「売り主が資金繰りに窮して不動産を投げ売りし、市場が崩壊するような状況」は当面は想定しづらく、資金繰りの問題での値下げは行われにくいと思います。

同様に、不動産投資希望者も融資を借りやすい状況が続いています。このような状況では短期転売目的の投資家が「人気も知名度もある東京の築浅の不動産」に投資し、高値水準で売却しようとする動きも出てくると思います。また、特定分野の不動産への投資資金の集中により、今人気の賃貸住宅がさらに高値になるかもしれません。高値で購入した不動産から利益を得ることは難しくなることがあります。これから不動産に投資したい人は、「買値が高くなりすぎていないか」に特に注意が必要になるのではないでしょうか。

各国では政府による大規模な経済対策が次々と打ち出されてきており、また、ワクチンが先進国を中心に普及するのが多少早くなるかもしれないという明るいニュースも出てきています。しかしながら、世界的には少なくともあと何年かは新型コロナウイルスとの闘いが続くことになると思われます。その間、人の移動やソーシャルディスタンスの確保等が外食・旅行・娯楽などの業種に悪影響を及ぼすのは避けられず、経済は引き続き多大な影響を受け続けることになるでしょう。また、今後は、東京駅周辺に代表されるような大規模不動産開発の動向や「東京五輪や大阪万博の開催」、といった大規模イベントにも注目していく必要があると思います。

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