はじめに

2020年11月16日から5日間、“これからの自分のためにお金をレベルアップさせる1週間”をテーマに、オンラインイベント「マネーフォワード Week」が開催されました。

本記事では、11月17日に開催された日興アセットマネジメント講演「投資信託のはじめかた―オトナの七・五・三―」の内容を一部抜粋・編集してご紹介します。

日興アセットマネジメント株式会社マーケティング部長の今福啓之氏と、同社マーケティング部副部長の小林望美氏が、長期の資産形成のために投資信託をどのように活用すべきか、お話します。

例を使って説明しましょう。小林さん、65歳になった時にいくらの金融資産を持っておきたいですか? 家は持っている、ローン等は返済が終わっている、ただ、給料はない、という状況だと仮定しましょう。

小林:最近「老後2,000万円問題」というのが話題になったので、漠然と2,000万円は必要なんだろうと思います。

今福:では、毎月いくらくらい使って生活したいですか?

小林:そうですね、おいしいものも食べたいし、老後は旅行にも行きたい…。そう考えると月に25万円くらいでしょうか?(笑)

今福:素敵なシニアのセカンドライフを送りたいということですね。そうすると元本2,000万円から月25万円を引き出していくということです。計算すると、引き出し可能年数が6.7年。これはつまり、7年持たずに0円になるということです。仮に、65歳のときに銀行の金利が少し上がって1%だったとしても、0.2年しか引き出し可能年数は伸びません。

「老後は運用しながら生活を」という意見もありますが、生活するお金をその時の運用で稼ぐのは非常に高リスクです。私は、大事な老後資金は保守的に見積もって「利回り0%」で良いと思います。なので、本当に引き出し月額が25万円じゃないといけないのか、ということをまず考えましょう。

時間の都合上、年金の話を詳しくはできませんが、若い世代の方は年金が0円だと思っている方が多いんです。しかし、それは大きな間違いだと思います。これまできちんと働いて年金を納めてきた人であれば、最低限の生活は年金で賄われると思っていいでしょう。

そうすると、2,000万円から月々引き出すのは25万円ではなく10万円くらいでよさそうです。であれば、引き出し可能年数は16.7年になります。しかしこれでもまだ、65歳だとすると80歳までしか持ちません。では倍の4,000万円にすると、33.3年持ちます。98歳です。

小林:ほぼ、“人生100年時代”に足りますね。

今福:そういうことなんです。つまり小林さんの場合は、4,000万円を65歳までに作っておければ、年金で生活し、毎月10万円を好きに使っていいということです。このようにして、「65歳でいくら作っておいたら幸せか」という目標金額を、まず最初に考えてほしいと思っています。

商品を選ぶ前にすべきこと

今福:では次に、どうすればその目標金額が達成できるのか、その考え方についてお話しします。

例えば40歳のAさん、今ある預貯金が500万円だとします。Aさんの目標金額は65歳で3,000万円。そうすると、500万円を25年で3,000万円にするには、7.4%の利回りが必要になります。なので、7.4%の利回りが期待できる商品を買う必要があります。

小林:必要利回りが7.4%と言うと、それはリスクを取らないといけないですね。銀行預金は0.01%ですから。とはいえ、リスクを取ることに抵抗感がある方もいらっしゃると思います。

今福:仮に、毎月決まった額のタンス貯金をしていくとしましょう。ノーリスクです。目標金額を3,000万円とした場合、25年間とすると毎月10万円が必要です。でも毎月10万円引かれるのはなかなか厳しいですよね。

では、利回りがある場合はどうでしょうか。利回り7.4%の商品を毎月同じ額だけ買っていく、積み立て投資をすると、3,000万円まで毎月の必要金額は約3.5万円になります。毎月の積み立て金額を抑えながら目標金額を達成するために、利回りの力を借りる必要があるんです。

なので、目標金額を決めたら、毎月いくら捻出できるかを考えましょう。そうすると、必要な利回りがわかります。漠然と「増えたらいいな」と商品を選ぶのではなく、必要な利回りが期待できる商品を選びましょう。リスクはもちろん嫌ですが、今捻出できるお金で将来の自分のために、リスクの高いものを選ばざるを得ないということだと思います。

利回りが7.4%で固定されている商品は存在しません。そう考えると、良い時と悪い時があっても、25年間の平均で7.4%を実現できるものは何かということを考えなければいけません。私は、(そういった商品は)株式100%のものしかないと思います。