はじめに

1)今から教育費ピークが始まるまでの10年間が貯蓄チャンス時期

教育費ピークの9年間で貯蓄を取り崩す金額の総額は約1,800万円です。これを10年間で貯めようとすると、年間180万円の貯蓄が必要となります。運用している資産の状況が良ければ結果としてそちらから教育費捻出で問題ありませんが、確実に必要な貯蓄については安全性も重要です。最低限現金で準備出来るだけの手元資金が準備しようと考えると、年間180万円は教育費として準備を考えると安心です。

2)貯蓄に対する運用比率を下げないと教育費が必要な時に損切りが必要になることも

前職の会社の株が年利20%とのことですが、この状況がずっと続くことはありません。ご相談者も理解されているようですが、それだけ成長しているということは、逆に下がる可能性もあるということです。

総資産における割合が高いこと、一社株で分散効果も得られずリスクが高いことを考慮すると、今のうちにある程度現金化しておくことをおすすめします。タイミングをはかるのは非常に難しいです。もしかしたらもう少し伸びるかもしれないし、逆に下がるかもしれません。シミュレーションの通り、教育費をまかなうとほぼ現金は無くなります。その中で住宅購入等を考えた場合、その時の運用状況で購入できるかどうかが決まってしまうのであれば、ある程度利益が出ているうちに現金化しておく方が賢明です。増えることを求めてしまいがちですが、必要以上にリスクを取った運用についてはおすすめしません。

3)住宅の買換えは、老後資金準備と照らし合わせながら検討が必要

現状のシミュレーションですと、住宅の買換えをしない場合で88歳まで貯蓄がもつ計算となります。住宅の買換えをする際は、新たな手出しや、月々の支払いに大きい変化が無ければ可能ということです。

頭金を出したり、再度ローンを組んで当初より最終返済年齢が後ろになれば、老後の生活が厳しくなるので注意が必要です。将来どれくらいで売却出来るか、買い替える物件の金額によって変化するので、それに合わせたプランニングをしましょう。現状、ある程度余裕を持った生活をされているので、買い替えの時期や金額を想定し、それに合わせて貯蓄を増やす余地もありそうです。

増やすだけでなく守ることも

最後に、増やすことだけでなく、守ることを考えるのも重要です。現在、保険には加入されていないようです。ちょっとした治療費であれば、今の貯蓄で充分準備出来ますが、万が一の際に収入が減少したり、無くなる可能性もあります。そういった場合でも教育費がまかなえたり、現状の生活が継続出来るだけの備えを準備することも重要です。

教育費準備、住宅購入、老後準備、貯蓄、資産運用、保険……。これらを個別に考え部分最適を目指すのではなく、トータル的に全体最適を目指すことで、理想の生活を実現させてください。

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