はじめに
不動産投資で節税することはおトクなのか?
不動産投資において節税メリットが強調されることもありますが、不動産投資における節税というのはおトクな話なのでしょうか?
仮に、今回の物件を1,940万円ではなく、2倍の3,880万円で購入したとしてみましょう。賃料収入は変わりませんから、実質利回りは単純に半分の1.83%となります。この場合、購入金額が大きくなりますので、キャッシュフローは大幅なマイナスに、そして不動産所得金額の赤字幅も増大することは容易に想像できるかと思います。つまり節税金額は大きくなるわけですが、このような形になっても節税できることはおトクと言えるでしょうか。
いくら節税金額が大きくなるとは言え、物件価格に1,940万円も余計に支払ってしまっては、その分を節税で回収するのは容易なことではありません。
一方、今回の物件を1,940万円の半額である970万円で購入できたと仮定してみましょう。利回りは7.57%となり、キャッシュフローは大きくなり、不動産所得金額も大きな黒字になります。結果的に税金は増えることになりますが、とても魅力的な投資と言えるのではないでしょうか。
今後物件を追加購入するにあたって
マイホームの購入や転職を検討されているとのことですが、そのような場合には投資用のローン審査が厳しくなる可能性があります。特に、マイホームを購入すると、住宅ローンの残高が大きいうちは、投資用のローン審査にあたって厳しめに見られる可能性があります。
今後も物件を購入されたいのであれば、マイホーム購入や転職の前に、投資用のローンを借りる予定の金融機関に早めに相談されておくことをおすすめします。
謳い文句に騙されずに冷静に見極めて
「不動産投資で節税を!」という謳い文句で不動産投資を勧めている会社もあるようですが、投資である限りは、収益性を確認することが非常に重要だと考えています。不動産投資は融資も利用しながら、非常に大きな金額の投資となりますので、目先の節税金額に惑わされることなく、投資として魅力的かどうか、しっかりと検討されてから実行されることをおすすめします。
ということで、ご相談へのシンプルな回答としては、「余程特殊な事情がない限りは、利回りなどを確認の上、あくまで投資としての収益性を重視されるとよいでしょう」ということになります。
以上、ポイントをまとめますと以下のようになります。
●まずはすでに投資されている物件について、実質利回り、キャッシュフロー、所得金額を再度確認してみましょう。
●お金を増やしていきたいのであれば、投資として魅力的な条件で投資を実行していくことが重要です。
●今後も追加投資をされる場合には、マイホーム購入や転職といったライフイベントの前に、投資用ローンを借りる予定の金融機関に事前にに相談しておきましょう。
●投資としての収益性を主目的とし、節税や生命保険機能はあくまで付随的なものとお考えいただくのがよいでしょう。
ご参考としていただけましたら幸いです。
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのFPが答える「みんなの家計相談」の過去の記事一覧はこちらから。