はじめに

個人型はなるべく拠出を続けることを考える

個人型の場合、掛け金を100%自分で負担するため、教育費がかかる時期などは一時的に掛金の拠出を中断したくなるかもしれません。その場合に注意しておくべきポイントをお伝えしたいと思います。まず、掛金の拠出を中断することは可能ですが、そうなると運用指図者として運用のみを継続することになります。

その時に注意することが2つあります。1つ目は運用指図者になったとしても手数料はかかり続けることです。加入先の機関によりますが、毎月最低でも171円かかるため定期預金など元本確保型の商品で運用していると元本割れすることになります。特に所得控除の税制メリットがない国民年金第3号被保険者の主婦などには手痛いコストです。2つ目は、運用指図者でいる期間は退職所得控除期間の勤続年数に含まれないことです。わかりやすくいうと、受け取る時の税制優遇が小さくなってしまいます。確定拠出年金は受け取る時にも税制優遇があるのですが、拠出年数が長くなるほど大きな控除を受けることができるのです。

これら2つの注意点には、拠出を年払いに変更することで対策が可能です。例えば、毎月の掛金を最低額5,000円に下げて、拠出を年払い(60,000円)に変更すると、毎月かかっていた手数料を年1回で済ますことができます。また、拠出を継続するので受け取る時の税制優遇が小さくなることもありません。ただし、ここでも注意することがあります。運用商品を投資信託にしている場合、拠出するタイミングが月1回から年1回に減ることで一時的な相場の動向に左右される可能性が出てきてしまいます。つまり、高値で買い付けてしまうといったリスクを抱えることにもなるのです。

これらをすべて考慮した上で自分にとってベターな運用を検討する必要があります。例えば、年払いにするのは、一時的に拠出を抑えたい時に限定し運用商品は元本確保型にしておくなど状況に応じて対策を行いたいところです。

2021年1月現在、確定拠出年金は原則60歳まで資金を引き出すことはできません。一度加入したら最後まで続けるのがベストですから、上手に続けて運用できることを考えておきましょう。

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