はじめに
新NISAの3つの大きな変更点
それでは、一般NISAから新NISAになると、どう変わるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
一般NISA・新NISAの比較
上で紹介した一般NISAと新NISAの表を並べました。大きな変更点は、以下の3つです。
新NISAの変更点(1):非課税になる投資金額が少し増える
一般NISAでは年120万円、5年間で最大600万円まで非課税にできます。それに対して、2024年以降の新NISAでは年122万円、5年で610万円まで非課税になります。年2万円、5年で10万円多く投資できます。
ただし、新NISAの投資は「2階建て」になり、次にお話しするように投資できる対象が異なります。非課税で投資できる期間はどちらも5年間で同じです。なお、NISAで買った株や投資信託などを売っても、非課税になる投資金額は回復しません。
新NISAの変更点(2):投資の対象が変わる
2階建てのしくみになった新NISAでは、1階部分と2階部分で投資できる商品が異なります。
1階部分で投資できるのは、つみたてNISAの対象になっている、金融庁の基準を満たした商品のみです。対して2階部分では、原則として一般NISAと同じく、株式や投資信託に投資できます。ただし、上場が廃止されそうな株式や、長期投資に適さない高レバレッジ投資信託などは除外されます。
原則として、1階部分に投資しないと、2階部分の投資はできません。もっとも、1階部分の20万円の枠を使い切る必要はありません。金融機関によりますが、1,000円、5,000円といった最低投資金額の積み立てを行えば、2階部分が使えるようになります。
例外として、これまで一般NISAを利用していた人や、株式投資の経験がある人などは、申請することで2階部分だけ利用することも可能です。しかしこの場合でも、2階部分の投資金額の上限は年102万円のままです。これまで一般NISAで120万円の非課税枠を使い切っていた人は、非課税枠が減ってしまうことになります。
新NISAの変更点(3):ロールオーバーの期間が伸びる
一般NISAには、5年間の非課税期間の終了後、翌年の非課税枠を使ってさらに5年間非課税で運用する「ロールオーバー」という仕組みがあります。
現行の一般NISAでは、投資期間が2023年までだったため、2019年以降の投資分には非課税枠がなく、ロールオーバーができませんでした。しかし、新NISAとなって新たに2028年までの非課税枠ができたので、2023年の投資分までロールオーバーができるようになります。5年間投資したあともロールオーバーして引き続き持ちつけることで、利益がアップしたり、損失をカバーしたりする期待ができます。
ただし、ロールオーバーをすると、ロールオーバーをした年の非課税枠が減ってしまいます。120万円を超える金額をロールオーバーすると、その年は非課税での投資ができなくなってしまうことになります。
なお、新NISAの制度終了後は、1階部分にあたる投資信託がつみたてNISAにロールオーバーできるようになる予定です(2階部分はロールオーバー不可)。この場合、新NISAの1階部分は最長で25年間非課税で投資できることになります。