はじめに

黒字部分の活用方法は?

6,500円の保険をなくし、通信費を3,000〜7,000円くらいまでに抑えることができれば、毎月2万円ほど収支が改善します。

この収支の黒字部分の活用方法についてですが、すぐに資産運用に入らず、まずは貯蓄をしっかりとしていただければと思います。万が一働けなくなってしまったり、収入が途絶えたりした場合に生活を守るためのお金を、「生活防衛費」と言います。この生活防衛費の目安は、会社員であれば生活費の6カ月ほどです。

支出改善をしても、14万円ほどは生活費がかかると思いますので、まずは手元に84万円ほどの現金貯蓄を作ることを目標にしましょう。半年分ほどの生活費があれば、収入が途絶えてもすぐに借入のサイクルに入らなくて済みます。

生活防衛費を貯めたあとは、ライフイベントのお金を貯めよう

生活防衛費が貯まったあとは、その他に考えられるライフイベント分も貯めていきます。例えば、1年以内に引越しを考えていれば、敷金・礼金・仲介手数料・前払い家賃・引越し業者代・火災保険などの費用です。このように、直近で使うのがわかっている費用を現金で確保するのではなく、投資に回してしまっていると、いざ必要になったとき、市況によって引き出せなかったり、大きく損をしてしまう可能性があるので注意が必要です。

初めての投資は何から?

投資は10年以上先の生活を見越して行うものです。短期での投資は、価格の変動幅が大きくなりがちで、リスク(金額の振れ幅)が大きくなってしまい損失が出る可能性があるからです。多くの方にとっては老後にむけた資産形成になると思います。ご相談者様も、おそらく老後が不安で貯蓄型の保険を始めたのだと思います。

投資で利益が出た場合には、利益に対して20.315%の税金が発生しますが、NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などの税制優遇制度を活用することで免除されます。

iDeCoは掛け金の全額が所得控除を受けられ二重にお得になりますので、老後の資産形成手段としては第一候補になると思います。一方で、まだご相談者様はこれからも想定外に現金が必要なライフイベントがおこるかもしれません。iDeCoなどの確定拠出年金は60歳まで引き出せないという制約があり、使い勝手が悪い部分もあります。まずは投資に慣れるという意味で、少額の「つみたてNISA」などから投資を体験して資産形成を学んでいってはいかがでしょうか?

支出を把握し、支出を抑え、適切に貯蓄と資産形成をしていけば、不安もなくなり、文字どおり人生が変わっていきます。また、知っていることと、実施していることには大きな隔たりがあります。知っていてもやらなければ改善しないのは明白です。ぜひ足元の家計を把握すること、固定費の見直しから実施していただければと思います。

以上、ご参考になれば幸いです。

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