はじめに

仏国民の72%「子供を産み育てやすい国」

日仏ではどれくらいの割合の国民が、自身の国を「子育てしやすい」と考えているのでしょうか。

日本の内閣府がまとめた「少子化社会に関する国際意識調査報告書(2011年)」を見ると、フランス国民の72%が「子供を産み育てやすい国だと思う」と回答しています。また同報告書からは、日本国民の52.6%が「子供を産み育てやすい国だと思う」と答えたことがわかります。

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逆に見れば、45.5%、つまり半数近くの日本国民が「子供を産み育てやすい国だと思わない」と答えています。しかし、単純に制度面を比較した場合、日本がフランスよりもことさらに劣っているとは言えないようです。

なぜ日本は子育てがしにくいのか

まず補償面では、日本では3歳未満の子供には15,000円が給付されるほか、中学生までは子供1人に対し5,000円が給付されるなどの手当が存在します。いずれも市町村に請求することで受給が可能です。

申請が必要で、受給期間などに違いはありますが、おおむねフランスの補償とかわりません。ただし、鉄道料金や余暇施設の割引等の大家族のメリットは、日本にはありません。

産休は日本の場合、産前6週間と産後8週間取得できます。パート社員、派遣社員、契約社員でも取得可能とされていますが、本人が会社・上司を相手に交渉する必要があり、産休が当然の権利として認められているかどうかは疑問です。

比較的日数が少ないこと以上に、この「取得の難しさ」に大きな問題がみられます。なぜなら産休取得や職場復帰に不安があれば、子供を産む決断は困難になるからです。

父親産休は、現在厚生労働省が検討中です。現時点で妻の産後に休暇を希望する父親は、育児休業制度を利用します。子供が1歳2ヶ月に達するまでの間、父親と母親合わせて1年間取得できますが、残念ながら活用は大変難しいようです。日本政府のデータによると、2018年に育児休暇を取得した男性はわずか6.16%でした。

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