はじめに
不労所得は楽ではない
支出面に改善の余地はあると思いますが、まず、「不労所得」について考えておきましょう。不労所得で稼げるというたぐいの書籍やネットの情報はあふれていますが、簡単にできることではありません。
不労所得にもいろいろあると思いますが、ご相談者が考えている不動産投資、FX、個別株投資はいわゆるリスク(不確実性)がそれなりにある投資となります。投資未経験のご相談者が急に始めるのは、そうなのかなと心配に思います。
投資に興味があるのなら、まずは投資信託の積み立てをして資産の軸になる部分をしっかりつくってください。短期間で生活費の足しになるような成果を上げたいという気持ちがわからないわけではありませんが、そんなに甘いものでもありません。しっかりと基盤ができてから、一部で不動産投資や株式投資をしてみるという段階を踏んでいくことが良いのではないでしょうか。やるとしても少額から、できそうであるかを見据えながらです。急に慣れないことをはじめ、せっかく貯めてきた貯金を失うことになってはいけません。まして仕事がどうなるかわからない時に、確実にとまではいかなくても、大きな損失を生む可能性があることは慎重にすべきでしょう。
勉強をすることは大切ですし、良いことですが、順序を間違えないように。結婚前のこれからという時期ですから、余分な損失を被らないよう、まずは普通に仕事を探して労働収入を得て、投資を試してみてから検討をしていきましょう。
収入が減る期間は支出をしっかりコントロール
お二人の暮らしは支出が極端に多いというわけではありません。ですが、まだ減らすことができる支出もあります。そこをしっかりコントロールしていきましょう。
必要のある支出まで減らすのではなく、さほど必要ではない支出を下げていくのです。例えば通信費。通話が多い人は大手キャリアの話し放題などのプランを使ったほうがお得な場合が多いのですが、ネット検索やメール、SNS中心の利用の仕方の場合では割高になりがちです。ですから、使い方に合わせ、契約プランや利用する通信業者を変えることで、効率よい契約に変えていくことができます。もちろん料金も下がります。
また若い人は被服費、交際費、娯楽費が多くなりがちですが、これも支出のひとつずつについて、必要な支出か、さほど必要ではないか仕分けていくことで、下げられる可能性が高いと思います。
食費、日用品代は月に合計6万7,000円ほど使っています。1カ月を5週間と考えると1週間分は1万3,000円。まずはこの予算でやりくりするようにしてみてください。食費が多くなっても、日用品代が多くなっても構いません。予算をオーバーしたら翌週から前借し、余れば貯金しても翌週に繰り越してもOKです。均一に支出する習慣ができると、予算オーバーをしにくくなります。
このようにして、支出をコントロールしていきましょう。
生命保険への加入を検討して
ところで、今の生命保険料は500円。恐らく、何かしらの有料サービスに付帯した生命保険サービスなのかと思えますが、それで保障は足りているでしょうか。
若い方は健康に自信があり、「保険なんて必要ない」という方が多いもの。ですが、目的に向かってお金を貯めているところだったり、医療費専用に使える貯金があるわけではないのなら、万が一の病気やけがに備えた医療保障には加入しておいた方が良いでしょう。もし、予期しない病気やケガで入院、しばらく働けないなどとなれば、資金計画も大きくくるってしまうことになります。
高額な保障である必要はありません。健康保険には「高額療養費制度」があり、1カ月の医療費の自己負担額の上限を超えた医療費は戻ってきます。予め高額な医療費が予想される場合は予め「限度額認定証」を申請しておけば、高額療養費制度の上限額以上は請求されません。また、医療費がかかる時期は休職となる場合も多いもの。健康保険の傷病手当金を受け取れる場合もあるでしょうが、収入が減ることも考慮して必要な保障を検討し、備えておきたいものです。
連載「みんなの家計相談」でお悩み募集中!読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのFPが答えます。相談はこちらから。