はじめに
こんにちは、マネックス証券 マネックス・ユニバーシティで暗号資産アナリストを務める松嶋(まつしま)です。この度、暗号資産(仮想通貨)投資に関する連載を始めることになりました。
「仮想通貨、価格が上がっててすごいね!自分も投資に興味があるんだけど、何から始めればいいの?」
「ビットコイン、最近すごくニュースで名前を聞くけど、何が起こってるの?」
暗号資産アナリストという仕事柄、こういった相談を周囲から受ける機会が増えました。メディアでも「仮想通貨」や「ビットコイン」といった言葉を多く目にします。今、多くの方が暗号資産(仮想通貨)投資に興味をもち始めているのではないでしょうか。
一方で、2018年に起きた大規模な国内取引所のハッキング事件等を受けて、国内では暗号資産(仮想通貨)に対するネガティブなイメージも根強いと思います。しかし、グローバルに目を向けると、昨年あたりから米国を中心に暗号資産(仮想通貨)に対する考え方が大きく変わりつつあります。
本連載では、なぜ暗号資産(仮想通貨)が投資対象として改めて世界的に注目されているのか、投資をする上では何がポイントとなるのか等について、暗号資産(仮想通貨)の基本に立ち返りながら、わかりやすくお伝えします。
なお、日本国内では「仮想通貨」と「暗号資産」2つの名称が使われていますが、本連載では、金融庁が2018年12月に正式名称にすると発表した「暗号資産」を採用します。しかし、2018年以前は「仮想通貨」という名称が一般的でしたので、当時を説明する際には適宜引用していきたいと思います。
学べば学ぶほど魅力にハマる暗号資産
今回は連載初回ということで、まずは簡単な自己紹介もかねて、筆者がどのようにして暗号資産の世界に入りこんでいったのかについてお話します。
筆者が暗号資産の代表格、ビットコインの存在を初めて知ったのは、2015年に新卒で入った銀行の新人研修においてでした。未来の金融をテーマにしたプレゼン大会で、あるグループがビットコインを取り上げていました。
当時は、2014年に発生したマウントゴックス事件という国内取引所のハッキング事件のあとで、「仮想通貨」という言葉すらも社会に定着していませんでした。筆者自身、このときは一つの発表としてそれとなく聞く程度で、ビットコインについて深く調べることはありませんでした。
ところが、2017年に再びそのきっかけは訪れました。研修でビットコインの発表をしたグループのリーダーから「仮想通貨で会社を立ち上げないか」と誘われたのです。銀行の古い体質に息苦しさを感じていた筆者は、思い切って寮を飛び出し、彼ともう一人の同僚とシェアハウスすることにしました。
そこからは銀行で働きながら暗号資産について調べる毎日でした。そもそも、暗号資産の仕組みは既存の金融商品と全く異なるものです。そのため、暗号資産を理解するためには、その仕組みの土台である新しいテクノロジーについて理解しなければなりません。
ブロックチェーン?マイニング?プルーフオブワーク?など、テクノロジーの難しい用語の連続に頭を悩ませながら、ようやくビットコインについて理解できたと思ったら、次はイーサリアム!?さらにこのときはビットコインとビットコインキャッシュとの分岐が議論されていた時期で、次から次に起こる新しい出来事に学習が追いつかなくなりました。
それでもなんとか食らいついて学びを続けていると、だんだんと暗号資産の全体像が見えてくるようになりました。すると、なんだか自分が未来を先取りしているような感覚になり、気づけば銀行を飛び出して、この世界にどっぷりと浸かっていたわけです。