はじめに
日本株の悪材料は出尽くしたか
冒頭で日経平均は冴えない展開と述べましたが、それでも相場はまだ冷静さを保っている一端を垣間見せてくれました。NYダウ平均の下落に連れ安は免れなかったものの、ダウが700ドル超の下落ですから20日の日経平均は2万7,000円割れも覚悟した方もいたでしょう。
しかし、日経平均は先行して下げていただけに、NYダウの下げにまともに連れ安するのはあまりにも合理的ではありません。20日の終値が264円安と1%程度の下落率でとどまったのは、相場がまともな証拠です。
しかも前場引け値は88円安まで下げ幅を縮小しました。米国市場ではエヌビディアをはじめ半導体株が買われ、SOX指数は上昇したことから、東京市場でも東京エレクトロン、アドバンテスト、レーザーテックなどの半導体関連株が逆行高となりました。
今期の業績を上方修正したキヤノンは大幅高となりました。これから本格化する4~6月期決算発表に明るい期待がもてます。というのも、前回の3月本決算発表時には良好な決算を発表しても株価が急落する銘柄が少なくなかったからです。その先鞭をつけたのが安川電機で、「安川ショック」などと言われました。ところが先日発表された安川電機の3~5月期決算は大幅上方修正でした。これに市場は素直に「買い」で反応しました。
その後、安川電機の株価は上昇分を吐き出す恰好で下落し「行ってこい」の展開となってしまいましたが、それは感染拡大などの悪材料で相場の地合いが極端に悪くなるなか、利益確定売りを急ぐ投資家が多かったからでしょう。重要なことは好決算を素直に評価できる相場であるということです。
確かに日本株は欧米株に劣後する展開が続いてきましたが、逆に言えば悪材料はほとんど織り込み、ダウンサイド・リスクは少ないと言えます。20日時点の日経平均のPERは13倍台、PBRは1.2倍を下回りました。バリュエーション的にもほぼ底値でしょう。