はじめに
特例期間を延長
2021年度改正では、住宅ローン減税の控除期間が13年間になる措置が延長されています。もともと住宅ローン減税の控除期間は10年間でした。しかし、消費税が10%に増税された軽減措置として13年間になりました。その後、コロナ禍で入居が遅れたケースでは、一定期間までに契約し、2021年末までに入居すれば特例が適用になる、としていました。
2021年度改正の住宅ローン減税では、契約期限を新築住宅では2021年9月末、分譲住宅や事業者が売主の既存住宅は2021年11月末までに契約し、2022年12月末までに入居した場合には、控除期間を13年間とすることに決まりました。今回の特例の延長については、コロナの影響による入居遅延の証明は不要になります。
改正された住宅ローン減税の注意すべきポイントは?
住宅ローン減税の床面積の緩和によって、今まで住宅ローン減税の対象にならなかった小規模の物件を購入しようと考えている人には、朗報です。世帯の構成は、今やファミリーよりも単身者や夫婦2人のみという家庭が増えてきています。一人暮らしはもちろんのこと、コンパクトな生活を望む人や狭くても利便性がよく都心の駅近な物件を選びたい人は、この2021年度改正は住宅取得のチャンスともいえます。
たとえば、住宅ローン減税が使えれば、今まで家賃を支払ってきた人でも、賃貸の家賃並みで自分の家が手に入るかもしれません。しかし、都心の23区内のマンション価格は、値上がりを続けています。今まで住宅ローン減税の対象にならなかった床面積の物件は、物件数が少ないことも影響して、必要以上に価格が上昇してしまっているものもあります。住宅ローン減税が受けられるメリットは大きいのですが、予算以上に背伸びするのは将来の収入の変化に対応できません。この特例の間に、何が何でも契約しなくては、と借入金を増やしてまで購入するのは考えものです。
また住宅ローン減税の控除期間が13年になる特例は、すべての住宅ではないことに注意しましょう。個人が売主の既存住宅は、13年特例の適用外です。この場合の控除期間は10年で、入居期限は2021年12月末になります。
さらに住宅減税で13年間控除される金額についても押さえておきましょう。住宅ローン減税が利用できる一般住宅の場合は、1~10年目は年末残高の1%が10年間控除され、年間最大40万円が上限になります。10年間の控除額は、最大400万円になります。拡充される11~13年目は、3年間で最大80万円が控除されます。11年目以降は、建物価格の2%(4,000万円が上限)の3分の1か、年末住宅ローン残高の1%かのどちらか少ないほうの額が控除されます。