はじめに
2022年度住宅ローン減税改正の動向
住宅購入を検討している人でもっとも悩むことは、いま住宅を買うべきかという時期の判断ではないかと思います。もし13年控除を利用して住宅を購入するとすれば、遅くとも2021年11月末までに契約を終えなければなりません。また床面積の要件緩和は恒常的なものではないため、来年以降も継続されるとは限りません。
さらに気になるのは、住宅ローン減税の動向です。会計検査院の指摘により、住宅ローン控除が金利負担を軽減させる目的以上の過剰な控除を行っていることが問題視されています。
現在では変動金利型のローンを利用する人の割合が高く、年0.5%を下回る金利の住宅ローンも多くなっています。そのため利息と住宅ローンの残高の1%控除との間に、利ザヤが生じているケースも出てきています。本来はローンを利用しなくても済む人が、ローンを利用するなどのケースもあり、住宅ローン減税の1%の妥当性が問われているのです。そこで、この住宅ローン減税の控除額を2021年度以降、見直しする可能性が高くなっています。
今後の控除額の見通しは、「年末の住宅ローンの残高の1%」もしくは「1年間に支払う利息金額のどちらか少ない額」が控除額になるのではないかといわれています。今後の住宅ローン減税改正の動向が注目されます。なお、2021年中に住宅を購入する場合には、ローンの返済の途中で税制改正が行われても、現在の年末残高の1%がそのまま適用されます。
状況を考えながら判断を
コロナ禍の影響を受けて、リモートワークやオンライン授業が増え、ライフスタイルにも変化が見られます。この変化で業種によっては、大きな痛手を受けたという企業もあります。住宅業界も着工の遅れや市場縮小傾向があります。景気刺激策としての2021年改正の住宅ローン減税は、住宅購入する側から見ると大きな魅力があるのは確かです。
しかし、今後の収入が増えない、減少するということも考慮に入れておきましょう。収入が減ってしまえば、所得税や住民税からローン残高の1%が控除しきれないかもしれません。住宅ローン減税の恩恵を受けることだけに焦点を合わせてしまうと、長期にわたる住宅ローンの返済が厳しいものになります。計画性をもった住宅購入のうえで、住宅ローン減税は利用すべきでしょう。