はじめに

お金のことは何とかなる。本当に辞めたいかじっくり検討を

ここまで見てきた限り、生活費31万円のままだと95歳までの生活は厳しいものの、住居費を見直せば見通しが立つことがわかりました。年金が15万円よりも多い場合や、資産運用の効果を考慮すれば、もう少し余裕が見込めるでしょう。

今回のご相談は、「地方で暮らす高齢の両親が心配になった」というのが大きな理由でしたが、その理由で収入を半分以下にする転職をしていいのかは悩むところです。仕事のやりがいを求めて以前からやりたかったことに転職するのであれば、一時的に収入が減少してもそこでまた頑張っていけばいいでしょう。また、親の介護が差し迫っていて同居が必要などの理由であればまたそれも仕方ないかもしれません。

ところが、一般職に転職しても、親と離れて一人暮らしをすることや正社員として決まった時間働くことには変わりません。管理職経験のある人が管理職を降りて転職しても、どこまで仕事が楽になるかは未知数ですし、むしろやりがいがダウンしてしまう可能性もあります。その決断が年収半減に見合うでしょうか。

一人で悩まずに人のサポートを得ることも考えて

おそらく、ご相談者さんは今とても疲れているのでしょう。疲れているときに重大な決断をするのはお勧めしません。転職を切り出す前に、まずは休息をゆっくり取りましょう。大事な管理職のご相談者さんに急に辞められるくらいなら、休まれたほうが会社としてのダメージは少ないので、気にすることはありません。

心と体に余白が生まれたら、これからについて考えましょう。離れて暮らす親のことを職場で上司や仲間に相談したことはありますか。意外と同様の悩みを抱えている人がいるかもしれませんし、何かしら対応を考えてくれるかもしれません。

例えば、どちらかの親の介護や認知症が気になりだしたという場合、「介護休業」を取得できます。休暇を取って両親に会いに行き、ご両親の様子を地域包括支援センターなどで相談すれば、公的介護保険の申請もできますし、ご両親のために使えるサポート制度を紹介してもらえるでしょう。家事支援や介護などのサービス利用にお金が必要なら、親に経済的支援をすることも今の仕事を続けていればできるはずです。

45歳は、まだまだこれから。転職するかどうかは親を言い訳にするのではなく、自分ごととして考えましょう。自分の人生を生きるためにも、ひとりで抱えず、だれかに相談することから始めてみませんか。

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