はじめに

女性管理職比率が高い銘柄の投資パフォーマンス

東洋経済新報社「CSR企業総覧(雇用・人材活用編)」2021年版の「女性管理職の比率が高い企業ランキング」に掲載された上位100社の内、女性管理職比率の高い上場企業76社で組成したポートフォリオは、2016年初以降、TOPIXよりも良好なパフォーマンスを示しました。

また、その中に含まれる、いちよし経済研究所が継続フォローしているユニバース銘柄(22社)で組成したポートフォリオは、上述76社で組成したポートフォリオよりも良好なパフォーマンスを示しました。

女性管理職比率が高い銘柄投資パフォーマンスが良好である背景として、投資家が、それらの企業は好業績を挙げると期待していることが考えられます。

独立行政法人経済社会研究所が2014年3月に公表したディスカッション・ペーパー「上場企業における女性活用状況と企業業績との関係」では、中堅企業(正社員500~1,000人)や中途採用が多い企業、あるいは新卒者の定着率が高い企業において、女性管理職比率の高さが利益率にプラスの影響を与えていると分析しています。このような企業は、ジェンダー平等の実現というSDGsの観点からも高く評価されるでしょう。

時価総額を基準とする中小型株のリサーチに特化したいちよし経済研究所のユニバース銘柄が全て、上記の中堅企業に該当するわけではありません。しかし、女性管理職比率が高いユニバース銘柄で構成したポートフォリオの、TOPIXに対する良好なパフォーマンスは、上記の議論と符合する点も多く、女性管理職比率を投資判断材料の1つとして活用できる可能性があります。

<文:リサーチサポート室 河内宏文>

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