はじめに
繰上償還されない理由
では、どうしてこのようなゾンビファンドが、真面目に運用されることもなく、そのまま存続しているのでしょうか。さっさと繰上償還してしまった方が、投資信託会社としても、あるいは販売金融機関としてもスッキリするのではないかと思うのですが、これだけの本数が繰上償還されることなく存続しているのは、何か繰上償還できない理由があるのかも知れません。
そんな疑問があって、以前、投資信託会社の人に聞いてみたことがあります。その答えは、「繰上償還させるのにもコストがかかるので、そのままになっている」ということでした。
確かに、昔は繰上償還させる際には「新聞公告」といって、あらかじめ掲載する新聞を決めたうえで、繰上償還させることを受益者に伝える義務がありました。恐らく大半の投資信託は、日本経済新聞の紙面に公告を掲載していたはずですが、最近はホームページを通じて公告する電子公告が一般的になっていますから、公告に関するコストは、ほとんどかかっていないはずです。
ただ、繰上償還させた場合、当然のことですが、償還金を受益者に返還する必要があります。その際にかかる振込手数料などのコストがかかることや、設定から長い年数が経過している投資信託の場合、受益者が死亡するなどで不明になってしまい、償還金を返還できないといった問題が生じることも考えられます。結果、いろいろと面倒なので、真面目に運用されることもなく、そのままになっている、というのが現実なのでしょう。