はじめに
税金に関する分野の変化・注意点
■個人住民税
住民税には、「未成年者」のうち前年の合計所得金額が135万円以下の者は非課税になる、という規定があります。この「未成年者」の定義が、2022年4月の施行から18歳に引き下げられます。
その人の状況にもよるため、あくまで目安としての数字ですが、例えば18歳や19歳で、月収17万円程度を稼いでおり、年収205万以上の収入があった場合、今までは掛からなかった住民税を、年間9万円程度、納税する必要になる計算になります。
■相続税、贈与税
〇未成年者控除
法定相続人として相続を受けた場合、20歳未満の場合は、「10万円×20歳に達するまでの年数」が、相続税額から控除されます。
例 18歳の場合 10万×2年=20万円の税額控除
改正後は、18歳に達するまでの年数に引き下げられます。
例 18歳の場合 10万×0年=0万円
〇相続時精算課税制度
これは60歳以上の贈与者から、20歳以上の推定相続人(または孫)に対して、上限2,500万円までの贈与額については、相続が発生するまで納税が繰り延べられる制度ですが、「18歳以上」に引き下げられます。
この制度は、「節税対策」としては使いにくいものですが、使用用途を制限せずに、纏まったお金を一度に贈与をすることができます。計画的に使うことで、生前のうちに、相続時の家族間の争いを防ぐために役立てられる制度です。
〇直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例
簡単に言うと、直系尊属(祖父や祖母、父や母)から受けた贈与について、それを受け取った子や孫は、第三者から受け取った贈与に比べて低く、特別な税率で計算してもよい、というルールです。
今まで、贈与を受け取る側の年齢は「20歳以上の者」と定められていましたが、この年齢も18歳に引き下げられます。つまり、今までよりも2年早い段階で、一定の相続対策が可能になった、と解釈できます。
上記は、今回の改正によって伴う変化のごく一部と言えます。社会の仕組み全体に与える影響は小さくありませんので、おそらくこの他にもさまざまな「調整」が行われることは予想できます。だからこそ、準備ができることはいろいろあります。
特に、お金に関する「各種契約」の部分は、何かあると大きな痛手になることも考えられます。これから成人になる若者自身はもちろん、親として、今のうちから始める「お金の教育」は、きっと将来必要になってくるでしょう。