はじめに

今回の円安は「悪い円安」?

ところで、日本市場ではこれまで円安と株価上昇は同じタイミングで起こっていました。逆を言えば、株価下落と円高も同じタイミングになるわけですが、そもそも株価下落の時に円高になる理由の1つは、「円キャリー取引」と言われています。

円キャリー取引とは、日本の銀行から超低金利で円を借りて外貨に換え、高金利通貨建で投資するというものです。大きな株価下落が起きた(リスクオフ)時には、リスク回避のために運用していた海外資産を売り、円で返済する動きが発生します。こうした「巻き戻し」と呼ばれる円買いが大量に発生するので、円高になるという流れです。

つまり、リスクオンになると株価上昇が起こり、同時に日本円を持たなくなるので円安になるというわけです。しかし、今回の円安は、リスクオンではなく、原油をはじめとする原材料の高騰が主な原因と言われています。

2020年9月時点では40ドル程度だった原油価格(WTI原油先物)は、2021年10月時点で80ドルを突破。原油価格はわずか1年ほどで2倍になってしまった計算です。さらに、原油だけでなく、金属など、他のさまざまな製品を作るための原材料も値上がりしています。

ドル/円の為替レートも2020年9月時点では100円台半ばでしたが、2021年に入ると110円程度に。さらに2021年9月後半から一段と円安が進み、114円前後になっています。

今は、円安による輸入コストの増加と、原油をはじめとする原材料の高騰のダブルパンチを受けている状態なのです。円安によって、輸出企業の業績がよくなるメリットもありますが、輸入コスト増&原材料の高騰による物価高が消費低迷を招く状況が続けば、日本経済は停滞します。日本経済が停滞するということは、日本企業の儲けは減るので、日本株の成長の足かせになる可能性が高いというわけです。