はじめに
今後つみたてNISA・iDeCoではどんな商品を買うのがいい?
悪い円安が続くとすれば、前述の通り、日本株の成長の足かせになる可能性が高いに加え、外国人投資家の売りによる日本株下落の可能性もあります。
というのも、日本株の売買代金シェアの約7割を占めるのは外国人投資家です。外国人投資家が日本株を買ってから円安が進むと、為替差損が発生します。外国人投資家にとって、日本株は投資先の1つであり、魅力度が下がれば資金は引き上げると考えられます。これにより日本株下落が起こるという流れです。
とはいえ、国内資産をゼロにして、全て海外資産にするというのは極端です。投資に絶対はないこと、金融資産に完璧な商品はないこと、そして何よりも日本の資産を持っていることは分散投資の観点からも重要です。
それに外国人投資家が一気に日本株を売れば、日本株下落と円高が同時に起こる可能性があります。そうなった時に海外資産しか持っていない日本人は、円高による為替差損が発生し資産が減るということが起こり得ます。何事もバランスが重要なのです。
ここまでの話から、つみたてNISAやiDeCoで国内資産にしか投資していない状況であれば、米国をはじめ海外資産にも投資することを検討してみてください。
「悪い円安」の影響を下げるためというよりも、そもそも米国をはじめとする海外資産の投資信託は、日本よりも成長力が高いうえ、円安に進んでも為替差益が得られます。なかでも投資信託であれば、1本で多数の資産に分散投資できるので、リスクを抑えつつ堅実にお金を増やす期待ができます。
たとえば、次のような商品が候補として考えられます(なお、金額などデータは2021年10月27日時点のもの)
(1)SBI・全世界株式インデックス・ファンド
(米国の株式・米国以外の日本を含む先進国の株式・新興国の株式に間接的に投資)
純資産総額:396.17億円
基準価額:15,749 円
信託報酬(税込):年0.1102%
3年トータルリターン(年率):11.69%
iDeCo、つみたてNISAで投資可能
(2)eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
(国内・先進国・新興国の株式と債券、国内外の不動産(リート)の合計8資産に対して、12.5%ずつ均等に投資)
純資産総額:1202.58億円
基準価額:13,622円
信託報酬(税込):年0.154%
3年トータルリターン(年率):7.10%
iDeCo、つみたてNISAで投資可能
(3)ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)
(国内債券・国内株式・先進国債券・先進国株式の4資産に25%ずつ均等に投資)
純資産総額:160.91億円
基準価額:14,388円
信託報酬(税込):年0.154%
3年トータルリターン(年率):6.50%
つみたてNISAで投資可能
いずれも、保有中の信託報酬0.1%台と安く、国際分散投資しています。そのうえ、純資産総額も順調に増えている投資信託です。つみたてNISA、あるいはiDeCoで購入してコツコツと積立投資することができれば、運用益非課税の恩恵を受けながらお金が増やせます。
なお、「為替ヘッジあり」の商品を選ぶと、為替レートの変動による資産の増減リスクを抑えて資産運用ができます。為替ヘッジに多少のコストはかかりますが、為替レートの変動で大きく損をすることを防げますので、リスクをとりすぎるのが怖い方は、取り入れてみるのもいいでしょう。