はじめに
純資産総額が大きければ人気があるのか?
よくこんなことを言う人がいます。
「純資産総額が大きいファンドは人気がある証拠」。
確かに、純資産総額が大きいということは、相応に資金が集まっているわけですから人気が高いと言えないことはないのですが、これは純資産総額の一側面しか見ていない物言いといってもよいでしょう。
純資産総額は資金の流出入で増減します。新規資金がどんどん入れば純資産総額は増加するので、純資産総額の大きな投資信託はそれだけ「買う人が多い=人気が高い」と考えることが出来ます。
でも、純資産総額は資金の流出入以外の要因でも増減します。
もうお分かりかと思いますが、組入資産の値上がり・値下がりによっても増減するのです。仮に、全く資金の流出入が生じず、結果、受益権口数が変わらなかったとしても、ファンドの組入資産が値上がりすれば純資産総額は増加しますし、逆に組入資産が値下がりすれば純資産総額は減少します。
実例として、ある日本株ファンドの純資産総額を見てみましょう。2021年10月1日時点の純資産総額は3,502億1,800万円。日本株ファンドで純資産総額が3,000億円超えですから、人気の高い投資信託のように見えます。ちなみに2011年11月1日時点の純資産総額は2,034億6,400万円でしたから、この10年間で1,467億5,400万円も増えたことになります。この数字だけを見ると、人気のあるファンドだと思う人は少なくないでしょう。