はじめに
コロナ禍のテレワークが及ぼした影響
コロナ禍の働き方やテレワークに対する受け止め方については、さまざまな調査が行われています。
企業と従業員に意識の差
コンサルティング企業のEYグローバルが世界9カ国で実施した調査によると(※1)、パンデミック収束後にハイブリッド勤務体制を整える考えの企業は、79%ありました。ただし、体制変更などを従業員に説明している企業は40%にとどまり、両者間で意識が分断されている可能性があるといいます。
そのため、柔軟な働き方を望む従業員は、帰属意識を急速に低下させているそうです。
そうした柔軟性の高い働き方を希望する従業員は、全体の90%に上りました。一方、企業の35%は、パンデミック収束後に全従業員のオフィス勤務再開を想定しています。企業と働く人の意識には、大きな差があるようです。
※1 EYグローバル『Businesses suffering ‘commitment issues’ on flexible working』,https://www.ey.com/en_nl/news/2021/09/businesses-suffering-commitment-issues-on-flexible-working
日本人はテレワークに向いていない?
アドビは、テレワークと仕事の効率などに関する調査を日本や米国など7カ国で行いました(※2)。
テレワーク導入の影響を尋ねたところ、ワークライフバランスが向上したと答えた人は85.5%いました。なかでも、ニュージーランド(95.7%)とオーストラリア(94.1%)は9割を超える人が向上を感じています。ただ日本は73.0%と、調査対象国のなかでもっとも低い割合になりました。
出典:アドビ / 未来の働き方に関する調査を7カ国で実施
仕事のはかどり方をテレワークとオフィス勤務で比べると、テレワークの方がはかどるという回答は7カ国平均69.1%でした。この設問でも、日本は42.8%と群を抜いて低く、唯一「テレワークはオフィスほど仕事がはかどらない」人が多数派になった国です。ほかの国々は、ドイツが68.8%とわずかに7割を切っただけで、いずれも70%台になっています。
アドビは、日本ではオフィスにある書類の確認や押印、サインといった作業で出社を強いられた人が多かったため、在宅勤務で完結せず、これがテレワークの仕事効率を低下させている、と分析しました。
出典:アドビ / 未来の働き方に関する調査を7カ国で実施
※2 アドビ『未来の働き方に関する調査を7カ国で実施』,https://www.adobe.com/jp/news-room/news/202109/20210916_survey-on-the-future-of-work.html