はじめに
(1)(税法上の扶養)100万円の壁:住民税がかかる
住民税はお住まいの都道府県・市区町村に納める税金。一律に課税される「均等割」と、所得に応じて課税される「所得割」の2種類があります。原則として100万円の壁を超えると、妻自身が住民税を支払う必要があります(地域によっては、より少ない金額で住民税が発生する場合もあります)。
(2)(税法上の扶養)103万円の壁:所得税がかかる・配偶者控除が受けられなくなる
所得税は税込の年収ではなく、そこから給与所得控除、所得控除を差し引いた「所得」にかかる税金です。パートで働く人の所得税は、収入から給与所得控除55万円、基礎控除48万円を差し引いた所得をもとに計算します。つまり年収103万円までならば所得がゼロになるので、所得税もかからないというわけです。しかし、103万円を超えると、所得があるので所得税がかかるようになります。
なお、年収が103万円を超えたからといって、いきなり高額な税金がかかるわけではありません。
たとえば、妻の年収が105万円だった場合にかかる住民税・所得税を計算すると
・住民税
所得割…(105万円-43万円(基礎控除)−55万円(社会保険料控除))×10%=7,000円
均等割(東京都の場合)…5,000円
計1万2,000円
・所得税
(105万円-48万円(基礎控除)−55万円(社会保険料控除))×5%=1,000円
合計1万3,000円となりますが、手取りの金額は103万円までに収めたときよりも多くなることがわかります。
また、103万円の壁を超えると、夫は配偶者控除が受けられなくなります。配偶者控除は、扶養者(ここでは、夫)の所得を最大38万円(妻が70歳以上なら48万円)控除して、税金を安くできる仕組みです。なお、配偶者控除の金額は夫の所得が900万円超(年収1,120万円)だと段階的に減り、1,000万円超(年収1220万円)になるとゼロになります。
もっとも、後ほど説明しますが、配偶者控除が受けられないとはいっても、妻の収入が150万円までであれば配偶者特別控除が受けられるので、影響はそれほど大きくないでしょう。