はじめに

年間支出の3分の1が教育費

相談内容に、「教育費には思う存分お金をかけたいが、その他はかなり質素に生活しています」とあります。早速、現在の家計簿をチェックしてみましょう。

家計簿を拝見すると、年間支出は920万円。その中で教育費は300万円です。年間支出の約3分の1が教育費ですから、教育費の割合が高いことが伺えます。

次に、貯蓄率を見てみましょう。世帯の手取り年収1,360万円のうち、年間貯蓄額は440万円。貯蓄率は約32.3%です。総務省「家計調査年報2019年(世帯主40歳代の勤労者世帯の平均的な家計収支)」の貯蓄率は、約33.8%です。相談者の家計は約32.3%ですから、統計データと比較して、ほぼ同じくらいの貯蓄率です。「教育費極振り」の家計にしては、支出をかなり抑えて質素に生活していらっしゃることがわかります。

続いて、2人のお子さんの進路について見てみましょう。

第1希望の都立中高一貫校と国立附属小は高倍率!

2人のお子さんの進路の第1希望は、長男(私立小3年)が中学受験をして都立中高一貫校。次男(5歳)は、小学受験をして国立附属小です。まず、都立中高一貫校の受験傾向を見てみましょう。

都立中高一貫校は、中学高校の6年間の教育を1つの学校として行います。一般の高校に該当する後期課程の入学者の募集は行いません。現在、都内には小石川中等教育学校・桜修館中等教育学校・立川国際中等教育学校・南多摩中等教育学校・三鷹中等教育学校の5校があります。さらに都立中学校(併設型)には白鴎、両国、富士、大泉、武蔵の5校があります。

都立中高一貫校の1番のメリットは、入学金、授業料、施設設備費が無償だということです。4年後の後期課程も一般の公立高校と同じくらいの費用です。私立中高一貫校と比較すると驚くほどの安さです。そのため、受験人気は高く、例年約5倍の高倍率です。

試験内容も私立中学校と異なります。都立中高一貫校では、試験のことを適性検査と呼んでいます。その内容は、問題を読んで自分の考えをまとめるという記述問題や自分の体験や物の見方をもとにした作文があることが特徴です。

いずれの都立中高一貫校も、検査日(試験日)は共通して同じ日のため、1校しか受験できません。そのため一般的に、都立中高一貫校と私立中学校を併願する人が多いようです。

国公立に入れなかった時の教育費を想定しておくべき理由

次に、国立附属小学校の受験傾向を見てみましょう。

国立附属小学校は、都内には筑波大附属小、お茶の水大附属小、学芸大附属世田谷、学芸大附属小金井、学芸大附属竹早、学芸大附属大泉の6校があります。国立附属小の入学金や授業料は、公立小学校とほぼ同じです。

教育費の安価さに加えてネームバリューも高く、授業内容も質が良いことから、とても人気があります。そのため、学校によっては最初に抽選をして志望者を絞ったあとで試験を設定している学校もあります。

たとえば、筑波大付属小に入学するには、抽選→試験→抽選と、3度の選抜があります。2019年秋実施の試験を見ると、志望者数3,900人に対して1次抽選で約45%の1,738人に絞られました。最終的に128人の合格者ですから、その合格倍率は志望者数に対して約30.4倍の狭き門です。そのため、公立小学校に行く前提として「記念受験」や「運試し受験」と割り切って第1抽選に望む人や、私立小と併願する人も多くいます。

このように相談者の第1希望は、入学できた場合は家計の負担が抑えられますが、どちらも高倍率なのが難点です。

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