はじめに
(2)価格は上昇が頭打ちか
平均発売価格は、「埼玉県さいたま市」(5,512万円、前年同期比+12.5%、2019年同期比+5.9%)、「神奈川県その他」(4,994万円、+6.3%、+4.7%)の2エリアでは前年同期比、2019年同期比とも上昇、「東京23区」(8,041万円、前年比▲1.8%、2019年同期比+5.2%)、「千葉県その他」(4,637万円▲0.6%、+12.5%)の2エリアでは前年比で減少、2019年比では上昇となりました。
一方、「東京都下(23区以外)」(5,338万円、▲1.1%、▲4.4%)、「千葉県千葉市」(4,255万円万円、▲5.8%、▲14.0%)の2エリアでは前年同期比、2019年同期比とも下落しました(図表3)。
「埼玉県さいたま市」は供給量が少なかったために価格が高まったという側面があるものの、「神奈川県その他」とともに価格上昇幅がかなり大きく、供給面からの一時的な価格上昇ではなくエリア全体の魅力が上がり、それに伴い価格水準が上方修正されている可能性が高いと思います。
また、「東京23区」では既にかなり高水準の価格となっており、そのエリアで購入希望ではあるものの、高すぎて購入できない人が増えて、需要が低迷している可能性があります。
ローン審査において、ローン返済に充当できるのは年収の30%程度であると言われています。他の借入がなく、借入条件を(1)金利は1%、(2)返済期間は35年と設定すると、借入可能額は、世帯年収500万円の場合は4,420万円と「千葉県」の新築マンションの現在の価格に近く、同様に1,000万円の場合は8,850万円と東京23区の現在の新築マンションの価格に近くなります(図表4)。
住宅購入にあたっては、マンション自体の価格に加えて少なくとも500万円程度の諸経費も必要になるので、新築マンションを買うときには、購入価格を全額借入で対応するにしても、こうした諸経費用に、ある程度の自己資金が必要になります。
しかし、厚生労働省と東京都の公表データによると、年収1,000万円以上の世帯が全世帯に占める割合は、全国で12%、東京都で19%しかいません(図表5)。住宅の購入資金用の資金は給与以外にも親からの支援等もあるかもしれないので、実際に購入可能な人はもう少し多いはずですが、首都圏のマンションは価格の上昇により、誰でも買えるわけではない高い水準となってしまっているようです。