はじめに

4:つみたてNISAの正しいはじめかた

投資は、「なんのために、いつ、いくら必要か」によって最適なやり方が異なります。例えば学資の場合、子どもが18歳と必要な時期が決まっているため、資産の増減がない現金で貯めていくのが王道です。住宅の頭金が5年後に必要ならば、こちらも投資でなく現金で貯めていくべきものになります。

一方、老後資産をつくる場合は、60歳まで引き出せないけれど、掛け金に所得控除が受けられるiDeCo(個人型確定拠出年金)などがよいでしょう。新婚なので、まだ今後のライフプランは固まっていないが余剰資金を現金で遊ばせておくのはもったいないという場合は、いつでも解約できる「つみたてNISA」が有用です。

ただし、生活防衛費がしっかりと貯まっていないと、「想定外のことがあるとすぐにつみたてNISAを解約しないといけなくなる」ので、ある程度の現金が貯まってからでないと長期投資を失敗しかねません。6カ月分の生活防衛費を確保してから、学資などの現金で貯める分と、運用に回す余剰資金を分けて投資するのが理想的です。

3カ月分の生活防衛費が貯まったら並走させてもよい

ただし、6カ月分の生活防衛費や学費を貯めてから投資を始めると、なかなか投資に回す機会が訪れず、時間を味方につけた複利運用の旨味を受けづらいのも事実です。考え方として、3カ月分程度の生活防衛費が貯まってから、貯蓄で増やす分と投資で増やす分を分けて計画を立てて、資産マネージメントをするとよいと思います。現在は、貯蓄を切り崩して現金を投資に回している状況ですが、一旦つみたてを停止して、まずは月の収支を黒字にして生活防衛費がある程度貯まってから再開したほうがいいと思います。

お得な制度を使い倒す前に余剰資金を生み出しましょう

ふるさと納税やつみたてNISA、iDeCoなど、お得な税制優遇制度はしっかりと使い倒していきたいものですが、まずは現金を確保して生活の基盤を安定させることが最重要といえます。家計の内訳を把握し、無駄な支出を減らすことで生まれた「余剰資金」を使って、投資やふるさと納税をするのはよいと思いますが、日々のキャッシュフローが赤字なのであれば、まず家計の見直しをして「黒字家計」になることが最優先です。「ボーナスで補填すればトータルで黒字だから大丈夫」という考え方だと、不景気の際にボーナスが少なくなり計算が狂った結果、借入しないと生活が立ち行かなくなるケースも多いもの。まずは毎月の収支の中で家計を黒字にコントロールすることを意識するとよいでしょう。どこか参考になれば幸いです。

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