はじめに

2:生活防衛費がなぜ必要か?

生活防衛費として330万円を貯めたいとのことですが、生活防衛費を「なぜ貯めるのか」「いくら貯めるのか」をしっかりと理解できているとモチベーションを高く維持できると思います。生活防衛費は、その名のとおり「収入が途絶えて、困窮するようなことがあっても、しばらく生活を守っていけるだけのお金」です。つまり、病気や怪我、会社の倒産などで働けなくなった時でも生活を破綻させないためのお金です。

この基準になる金額は、生活にかかる費用の6カ月分と言われます。相談者様は1カ月25万円なので、6カ月分は150万円となります。

なぜ6カ月分なのかというと、6カ月分あれば会社が倒産した場合や働けないような怪我や病気でもリスタートしやすい期間が担保できるということもあるのですが、そもそも、会社員や公務員であれば「傷病手当」や「失業給付(雇用保険の基本手当)」があります。傷病手当は、それまで働いていた会社の給料の約2/3が最大1年半出ます。ということは、会社員や公務員であれば6カ月分の生活費があれば、手当金と併せて1年半はそれまでと同じだけの生活費を払うことができます。1年半の生活が担保できれば大抵の状態に対応できることになります。一方で、個人事業主となると傷病手当や失業給付がないため、1年から2年分の生活費用がまかなえる貯蓄が必要になります。

相談者様は生活防衛費330万円を目標にしていますが、夫が会社員であれば多すぎる可能性があります。生活費の6カ月分であれば、生活防衛費は150万円と考えてよいでしょう。

3:4つの袋(口座)を分けて整理する

貯蓄する上で、1つの口座でさまざまな目的の資産を管理しようとすると、内訳が分からなくなりがちです。そこで「生活費」「生活防衛費」「将来かかる費用(学費など)」「老後資産」の4つの口座を分けて整理すると、何にいくら貯まっているかがわかりやすくなります。

生活費の口座には、1.5カ月分の生活費が給料日になると入っている状態を目安にするといいでしょう。1カ月分ギリギリだと、ふとしたタイミングで他の口座のお金を引き出してしまったり、場合によっては借入が必要になってしまったりするので、半月分は余力があるとベストです。

生活防衛費は、先述の通り6カ月分の生活費用を貯めておきましょう。教育費や使うことが分かっている目的別の費用も分けて管理すると、目標までの進捗がわかりやすくなります。老後資金は、20〜50代の方であればリスク許容度に応じて証券口座で株式や投資信託などの金融商品を、NISAやつみたてNISA、iDeCoなどの税制優遇制度を利用して長期運用で増やしていくといいでしょう。

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