はじめに
8月26日に開催された「積立投資1DAYスクール」の中で、「株主優待と配当で分散積立投資?!マニークで相談してみよう」という東海東京証券株式会社によるセミナーが行われました。
セミナーでは元プロ棋士で、現在は株式優待で生活を送っている投資家・桐谷広人氏が登壇。投資家時代に「もうここまでか…」な状況を救ってくれたという優待株での分散投資メリットを語りました。
日本人が投資したがらない理由
桐谷氏: どうもみなさん、こんにちは。今、紹介していただきました桐谷です。今日は積立投資の話なんですけれども、私は積立投資より株主優待のほうが専門なんでそちらのお話を主にさせていただきます。
2012年からアベノミクスが始まりまして、景気を良くしようっていうことなんですけども、どうも働いている方の給料はほとんど上がってないんですね。2016年の賃金は2000年と比べると、名目賃金で10%低くなって、実質賃金では11%低くなっているんですね。
ですから、アベノミクスで株価は上がって企業の業績は非常に良くなったんですけども、それが働いてる人たちに還元されてないような状況がずっと続いてるんです。定期預金の金利がほとんどゼロにもかかわらず、依然として貯金する人が増えているし、タンス預金とかそういうお金を持ってるんだけれども投資をしない方が増えている。
では、投資とはどういうものか。
自分のお金をどこかに預けて、預け先に増やしてもらうというのが投資なんです。しかし、どうも日本人は……。これは1990年に今から20数年前にバブルが崩壊したのと関連があると思うんですけれども、なかなか投資をする人が増えない。
株式投資をしているのは1割ぐらいじゃないかと言われているんです。そういう状況なんです。ですが、今言いましたように、働いても賃金が増えない状態なので、何かしたらいいんじゃないかというヒントを求めて、今日多くの方がこの会場に来られてるんじゃないかと思います。
自分の体験を踏まえながら「投資はいいですよ」というお話をしたいと思います。
自分の稼いで貯めたお金を自分のところに置いていたんでは、泥棒に入られない限り安全ではあります。しかし、どうもお金が増えていかない。できればやはり日本経済に投資をしたほうが私はいいと思うんですね。
世の中にはお金を必要としてる企業がたくさんありますから、そういうところにお金を貸し付けて、有効活用していただく。その結果、配当を得るということをやったほうが自分のためにも、日本経済のためにもいいと思います。
株主優待券だけで生活を送る
私は「月曜から夜ふかし」というテレビに出たことがありまして、それを見ておられる方はご存じだと思うんですけども、全然お金を使わない生活をしています。
最近ベストセラーになった本に『はじめての人のための3000円投資生活』(横山光昭・著)があります。これは去年売り出された本らしいんですけど、私が知ったのは今年初めで、すでにこれがベストセラーになっている状態でした。
この本は1,100円(税別)なんですけども、お金を払って買ったのではもちろんないんですね。ヴィレッジヴァンガードという会社がありまして、ここの株主になっていると株主優待券をくれるんですね。その株主優待券で買ったんです。
去年までは1,000円券が10枚の株主優待がきたんです。1年間で。その1,000円券で買い物ができたんですけども、ちょっと業績が悪くなったので、今年から2,000円ごとに1,000円の買い物券が使えるという具合になりました。
この本は1,100円ですから、これだけを優待券で買うわけにいかない。そのため、何かくっつけて2,000円にしてこの本を買わなきゃいけない。ちょうど2,000円ぐらい買いまして、残りの1,000円は他の会社の優待でくださってる図書カードを使ってこの本を購入したんです。
「3000円投資生活」って、3,000円をどうやって増やしていくのかなと疑問に思ってこの本を購入したんですが、3,000円をどんどん増やすんじゃなくて「毎月3,000円で投資信託をしましょう」という本だったんですね。
投資信託を毎月3,000円ずつ買っていると、長い年月の間にはひと財産になるという本でした。そういう投資信託から始めるのが、初心者には一番いいんじゃないかなと思います。
この本を読んでいますと、定期預金にはほとんど利息が付かないので、毎月3,000円ずつ積み立てて何十年後かにこれだけ元本と利息合わせてなってますよ……とはいえ、現在、1年定期の金利が0.01%ですからほとんど利息が付かない。
そこへいくと投資信託はいいですよ、という本です。初心者から見ると、投資信託から始めるのも一つの有力な方法だと思います。