はじめに

優待株を分散するのが一番利回りがいい

そもそも配当とは、会社が利益を上げて、それを株主にお金でご褒美としてあげるものなんですね。配当にはいろんなルールがあるんです。「何年間連続上がりだったら出しちゃいけない」とか。

100株持っている人には100株の配当があり、1万株持っている人にはその100倍いくなど、株主の持っている株数によって違うのが配当なんですね。たくさん持ってる人にはたくさん配当がいく。

ところが優待は、9割以上の株主優待が100株持っている1単位なんです。一番少ない単位を持ってる人に一番利回りがいいんです。9割以上の会社が100株持ってても1万株持ってても、10万株持ってても、同じ優待品っていう会社が9割以上なんです。

例を言いますと、1単位の株式10万円の会社があり、年間2,000円配当してて、年間2,000円のQUOカードをくれるところが結構あるんですね。つまり、10万円を持っていると2,000円の現金(2割ほど手数料で引かれますが)、2,000円のQUOカードがもらえるので利回り4%なんです。

ところが、その会社の株式を100万円分持っていると、配当は常に2%で、QUOカードは2,000円しかもらえません。そのため、合わせて2.2%にしかならないんですね。

結局、100株だと4%だったものが、その10倍持っていると2.2%に減って、その10倍持っていると2.02%に減る。持てば持つほど2%に近づいていく。そういう具合にお金持ちにはありがたくないのが優待制度なんです。

だからちょっとだけ株を持っている人にお得なのが優待。利回りがいいんです。ですから私は、優待株を100株ずつ分散投資するのが一番利回りがいいので、初心者の方々におすすめしているし、自分も今そういう投資法をとってます。

プロ棋士だった私が株式投資を始めたきっかけ

株式投資をなかなか始めようと思っても「怖い」と始められないのは、やはり損したらどうしようと思う方が多いからだと思います。

私も「株はギャンブルだからやっちゃいけない」と子どもの頃からずっと思っていたんですけども、25歳のとき、将棋のプロ棋士になったことが株式投資を始めるきっかけを作ってくれました。

最近では藤井四段が29連勝するなど、将棋ファンのみならず、一般社会でもニュースになっています。彼は中学生なんですけど、すごい才能でどんどん勝ち進んでます。中学生でありながら1,000万か2,000万か対局料でそれぐらい稼いでいると思います。

私は18歳で将棋の世界に入り、25歳でやっとプロ棋士の四段になりまして、25歳から給料をもらって将棋で生活するようになったんです。

将棋のプロ棋士は対局して給料をもらいます。対局料、賞金をもらうんですね。その他にもお茶とかお華とかピアノの先生みたいにレッスンに行くようなこともやっています。

私が29歳のとき、東京証券協和会という証券マンの団体の将棋部に、月1回将棋を教えに行くようになりました。そこで証券マンと初めて知り合いました。

私は株はギャンブルだし、証券マンはギャンブラーだと思っていたので、将棋のレッスンが終わると5年間はまっすぐお付き合いしないで帰っていたんです。

しかし、5年ほど経ったときのことです。私が住んでいる町にみお証券会社がありまして、そこの支店長に転勤して来られた方が将棋ファンということで連絡くださって、その支店に行ったのが株をやるきっかけになったんです。

1億円儲けて有頂天、そしてバブル崩壊へ

株をお付き合いで始めたら、ちょうどバブルの時代でどんどん儲かりまして、これは本職よりいいなと思って、信用取引というか非常に力を入れてやりました。しかし、そこでバブルが崩壊しまして……。

みなさんから見ると信じられないかもしれませんけども、バブルのときに1億円ぐらい儲けられたんです。そして有頂天になっていたら、「信用取引をやったらバブル崩壊で1億円ぐらい損した」ということがありました。

それで、しばらく株をやめていたんです。しかし、株価が落ち着いてくるとまたやりたくなりまして。それからは、儲かったり損したりの繰り返しです。

インターネット株取引をきっかけに再開

2000年ぐらいからインターネットで株取引ができるようになりましたので、ノートパソコンを買いました。手数料の自由化により、取引手数料が安くなっていましたから、勝てるんじゃないかと思ったんです。

競輪とか競馬をやる人がいますけど、これは寺銭(場所を提供する者に対して支払われる金銭)が手数料25%も取られていますから、よっぽど才能のある人以外は勝てないんですね。宝くじに一獲千金の夢を託す人もいますけども、これはみんなで集めたお金のうちの42%ぐらいしか賞金になって返ってこないんです。そのため、運が良ければ大儲けなんですけども、長くやっているとだいたい半分も返ってこないので損してしまいます。

その点、株式投資は、これまでは買って売っての手数料が3%でしたが、インターネットが発達してからはどんどん安くなりました。

2000年ぐらいから手数料が安くなったので、これは勝てるんじゃないかと思ったのです。そのため、またちょっと熱心にやるようになりまして、儲けたり損したりしながらやっておりました。

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