はじめに

「株式投資をするな」は本当か?

『はじめての人のための3000円投資生活』で、ちょっと気になることが書いてありました。

この本の中の見出しで「退職した夫が株を買いたいと言い出したら要注意」というものがあるんですね。しばらくいくと「9割が負けて1割が勝つと言われる株式投資の世界で、そうした投資家たちと争い利益を上げるのは、よほど勉強と経験を重ねなければ難しいでしょう」と。だから株式投資するなって書いてあるんですね。

もちろん投資信託するのはいいことなんですけれども、「株式投資するな」は間違った意見だなと私は思うんです。

株式投資にもいろんな投資の仕方があります。以前の株式投資は、値上がりを狙って投資するやり方だったんですね。

昔に比べて、株式の配当は高くなっている

私が株を始めたのは33年前です。その頃はバブルの時代で1年定期で定期預金の金利が6%とか8%とかありました。私の田舎にある郵便局の垂れ幕には「10年で倍」とありました。

ところが今は、定期預金10年してもほとんど利息が付かなくて、逆に株の配当のほうが増えているんですね。当時は株の配当は年間1%未満しかない。株は値上がりして儲けようってことで株を買う人が多かったんですけど、現在は全く時代が逆転しました。株式のほうが配当が高くなっているんですね。

先ほど2000年に比べて去年が、実質賃金が10%下がっているという話をしました。株の配当は平均で2000年に比べて2.7倍ぐらいになってるんですね。上場株式の配当金の総額は毎年増えている状況です。

これは企業が儲かったお金を従業員の給料に回さないで内部留保したり株の配当に回したりしているからなんです。

では、なぜ従業員の給料上げないかというと、従業員の給料を上げてしまうとなかなか下げられないからです。給料を上げてしまうと、またリーマンショックのようなことが起きる。あの頃、どんどん潰れる会社が出てきました。ですから従業員の給料はなかなか増やせない。

そこへいくと株の配当は、儲かれば配当を増やしても景気が悪くなれば配当を減らすことが簡単にできるんですね。

昇給をあてにできないからこそ「優待株の分散投資」

そういうのもありまして、なかなか従業員の給料が上がってこない。ですから会社勤めされている方も自分の給料が増えることをあまりあてにできない。ですから、余っているお金があったら私は株を買ったほうがいいと思ってるんです。

投資信託もいろんな投資信託がありますけども、株を買ってその利益で投資信託の利益を出しているところも多いんですね。そのため、自分で株式投資をやる自信がない人は、投資信託を買って毎月コツコツといくらか積み立ててやるのが、非常に有力な方法なんです。

私が33年間株式投資をやった体験からずばり言いますと、優待株の分散投資をするのが一番楽しくて利益も出るしいいんじゃないかという具合に考えています。

株主優待とは何か?

まず株式とはどういうものか。株を買うと、今はだいたい1単位が100株になっているんですけども、私が始めた33年前は1株で1単位、10株で1単位、100株で1単位などいろいろありました。当時は1,000株で1単位が一番多かったんですけど、単位がバラバラだったんです。

現在、来年の10月までに1単位を全部100株にしようという動きがあります。そして、5万円~50万円ぐらいまでで株を買える具合に東証のほうが調整しているところです。

株主優待の始まりは鉄道会社?

そして株主優待とはどういうものかというと、株は明治時代からあるんですけども、最初に株主優待をやったのが電鉄会社だと言われています。

電車は毎日走っております。電鉄会社が自分のところの株主になったら電車に無料で乗れる券を配りますよ、というのが株主優待の始まりらしいんです。

映画館なんかは、「自分のところの株主になってくれますと、映画がタダで見れますよ」という具合で優待を始めていました。なかなか現金同様に使える優待はなかったわけです。

1990年に日本でバブル崩壊が起こりました。そして日本人の株式投資をやる人が減ってしまったんですね。バブルが崩壊して、みんなが大損しました。平均株価がずっと下がり続けて、ちょうどリーマンショックのときに5.5分の1まで下がってしまったんです。

平均で5.5分の1ですから紙切れになった株も多いし、もっと下がったものもたくさんあったんです。それで日本人は株式投資に懲りちゃって、今はあまりやる人がいなくなってしまったのですね。

現在の株主優待の約半数がQUOカード

会社が資金調達する方法は、主に2通りあります。銀行からお金を借りるか、株を発行して広く資金を集めるか。

銀行からお金を借りますと、もちろん返さなければいけないし、利息も払わなければいけません。そこで株式を発行し、株券を買ってもらってお金を集めるというのが広く行われている手法です。

自分のお金で何かやるのは資金が限られていますから、例えば工場を建てようと思ってもお金がない。そういうときに株を発行して、株券を買ってもらってお金を集めて工場を作ったり、新しい技術を開発する研究所を作ったりする。

ですから、自分のところの株が元気良ければ資金調達が楽なんですね。それがバブル崩壊でものすごく下がり、おまけに日本人で株をやる人が減った。ですから今は、3分の2ぐらいが外国人投資家なんです。

そこで考え出されたのが現在の株主優待制度なんですね。

以前は、「自分ところのものをタダで使わせてあげますよ」が優待制度だったんですけども、バブル崩壊しまして日本人で株式投資をやる人が減って株価が低迷してからは、徐々に現在の株主優待制度……要するに、株主優待を自分の会社とは関係ない、わざわざ優待品を買ってきて株主にあげましょう、というやり方が多くなっています。

現実に多いのは、QUOカードです。今年になって株主優待を新設した会社が70社ぐらいありますけども、半分がQUOカードの優待です。

QUOカードは、カードを作っている会社が1社あるんですけども、そこからわざわざ買ってきて優待品を出すんです。

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