はじめに
大学の在学費用はどれくらいかかるか
まず、大学に入学してから卒業までにどれくらいの学費がかかるのかを見てみましょう。
令和2年度「教育費負担の実態調査結果」(日本政策金融公庫)では私立大学文系学部の在学費用(授業料、通学費、教科書代、塾の月謝、おけいこごとの費用など)は年間152.1万円、理系学部で年間192.2万円です。入学年度には受験料や入学金等の納付金(入学しなかった大学を含む)が別途95.1万円かかっています。国立大学の在学費用は年間115万円、入学年度は別途77万円かかるという結果です。
仮に私立大学文系学部に自宅から通ったとすると、相談者の家庭の2人のお子さんが大学を卒業するまでの大学在学費用は【表1】のようになります。
奨学金や借入を考える前に、まず現在の貯蓄のペースで大学在学費用が賄えるかを検討してみましょう。
1年間の貯蓄額で大学在学費用を賄えるか
相談者の家庭の現在の貯蓄額と投資額の割合を考えると、投資の比率が高いように感じます。貯蓄額が少ないので、少しでも大きく増やしたいという気持ちは理解できますが、1年後に上のお子さんが大学進学、その2年後には下のお子さんが大学に進学と教育費が待ったなしでかかってくる時期です。
今は、元本保証のない投資商品ではなく、現金化しやすい方法で貯蓄するべきと考えます。
いただいた資料から推察すると、投資での利益を考慮しない、単純な年間貯蓄額は184万円(月7万円×12か月+ボーナス100万円)です。
現在、高校生と中学生の教育費が月額15万円(年間180万円)かかっている上での貯蓄額なので、それらを考慮した今後7年間の教育費と年間貯蓄額の推移は【表2】のようになります。
下のお子さんが大学入学の年のみ年間貯蓄額が年間教育費を下回り、赤字になりますが、これまでの貯蓄が底をつくことはなさそうです。
相談者は、大学資金を奨学金その他での借入をするべきかを考えておられますので、奨学金や借入についてもお話しましょう。