はじめに

NISAとiDeCoの税制優遇

英国人の多くが利用しているISA(Individual Savings Account)という制度を真似て作ったのがNISAです。Nは日本のNです。これは少額投資非課税制度と呼ばれ、少ない金額から投資ができ、投資で得られた利益に対する税金が非課税となる制度です。通常利益には2割の税金がかかりますから、大きなメリットです。成人であればだれでも利用可能なNISAには、非課税期間が5年の一般NISAと、20年のつみたてNISAの2種類があります。

米国人の多くが利用している401kという制度を真似て作ったのがiDeCoです。こちらは確定拠出年金が正式名称で、毎月「確定」した掛金を「拠出」する老後のための「年金」です。60歳までお金を引き出せないという厳しい制約がある代わりに、税金の優遇はNISA以上に設けられています。

まず、毎月の掛金は全額所得控除になります。自分の収入から税金がかからないお金として差し引けるので、節税になります。例えば年収が500万円で所得税率が10%の会社員であれば、年間の掛金の1割が年末調整で還付されます。一般的な会社員であれば年間27万6,000円まで積立ができますから、還付金は2万7,600円です。さらに翌年支払う住民税も2万7,600円安くなります。つまり税のメリットは合計5万5,200円、貯蓄をしながら20%もの税金が得するのですから、いかに税制優遇が大きいか分かっていただけるでしょう。ちなみに保険会社の個人年金保険で同様に積立をした場合、税のメリットは合計6,800円(※)です。
※編注:初出時に金額の誤りがありました。

iDeCoはNISAと同様、掛金を運用に回します。そしてそこから得られた利益は、非課税で受取ります。NISAには、5年や20年といった非課税期間が設けられていますが、iDeCoは75歳まで非課税での運用を継続することができます。

さらに、受取の際にも特別な課税ルールが適用されます。60歳以降いつでも受取ができるのですが、その際一括で受け取ると退職金の扱いになります。掛金を拠出した期間で退職所得控除を計算してくれるので、仮に30年iDeCoを継続すると1,500万円まで非課税で引き出すことができます。また分割で受け取る際は公的年金等控除が適用となるため、より税金が有利になる受け取り方を自分で選べることもメリットです。

国は税収を譲ってまで国民に資産形成をしてほしいと願っています。そして、私たちが手に入れた「長生き」という自由は自助努力を必要としています。将来の自分を支えるのは、今の自分しかいません。もし今まで「まだいいや」と先延ばししていた方がいらっしゃいましたら、この機会に「NISA」と「iDeCo」に取り組まれることをお勧めします。

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