はじめに

投資中心にするなら、貯金をしっかりと

相談者様は現状、毎月の収入も多いですし、収支の差額もしっかり出せています。また、ボーナスもしっかり支給されているので、収入面だけを見ると投資を始めても問題ないだろうと思えます。ですが、貯金は足りないと思いますし、1年後に収入が減ることを考えると、支出を減らすことも考えねば、お嬢さんの塾代や学費にも響きます。

投資商品に積み立てているので、お金は十分にあると思われるかもしれませんが、必要ができて現金化するとき、それが最良のタイミングとはいえない場合もあります。相場が下がり、損をした状態で現金化しなくてはいけない場合もあるからです。

そう考えると、生活の備えや、近い将来使う予定のお金は、現金で持っていたほうが得策というわけです。

現金を備えるには段階があります。まず、生活費を上手く回すために「使う」お金として生活費の1.5カ月分。その次に、万が一収入が途絶えるようなことがあった時、生活費に充てることができる「生活防衛資金」として、6〜12カ月分。そのほか、この2〜3年のうちに使う予定のお金も別に貯めておきます。

これだけ備えておけば、万が一、予測しえないことが起きた時にも対応できるでしょうし、大切な投資資産を思いがけず手放すようなこともしなくて済みます。投資資産を大きく育てていく準備の一つとして理解していただければと思います。

増えた収入は貯金に回す

毎月40万円の生活費がかかる相談者様のご家庭は、ようやく生活防衛資金ができ始めている段階です。これを生かして生活防衛資金を作るために、iDeCo、つみたてNISAは継続しながら、それ以外の投資に回している金額を、しっかり貯めてみてはいかがでしょうか。iDeCoは一度始めると60歳までは続けなくてはいけませんし、つみたてNISAは柔軟な資金となり得ますので、始めたのであれば貯金と並走して継続していきましょう。

iDeCoやつみたてNISAを継続しても、あと1年ほどは約14万円の余剰金が残ります。これを12カ月貯めれば、168万円貯められますし、ボーナスからも貯めれば、200万円程度を貯められるかもしれません。

貯金として持ちたい最低額は、生活費1.5カ月分と半年分の生活防衛資金とで、最低7.5カ月分。つまり、40万円×7.5カ月で300万円です。すでに手持ちの70万円と、今後1年で貯められると予想できる200万円ほどで、約270万円の貯金ができると考えられます。あとは生活費をやりくりしたり、ボーナスを生かして貯めていけば、生活防衛資金は作れるでしょう。

お嬢さんの学費については、大学進学費用を貯めつつ、私立中学・高校の費用は、毎月の生活費からねん出できるようにしたいもの。生活費の見直しをして、やりくりを検討しておきましょう。もし大学進学時に貯金では足りないようなら、つみたてNISAの一部を教育費に回すことも考えられます。

また、貯金を継続して余裕資金としての現金を持っていると、今後相場が下がった時に、投資商品を買い増すこともできます。投資をする上でも、メリットがありますので、ぜひ貯金を増やすことを考え、実行していただきたいと思います。

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