はじめに

初めまして、マネックス証券 チーフ・FXコンサルタントの吉田恒です。この度、FXに関する連載を始めることになりました。

早速ですが皆さんは、FX取引にどのようなイメージを持たれているでしょうか。また、実際に取引されている方は、国内の投資、とくに株式投資ではなく、あえてFXを取引したいと考えた理由は何でしょうか?


「外貨建て」の選択肢としてのFX

まず考えられるのは、円より相対的に金利の高い外貨の取引をしたいということではないでしょうか。日本は世界で屈指の低金利国という時代が長く続いてきたので、外貨の金利への期待でFXを選択する人は少なくなさそうです。

また、FXは「少額の資金でも取引可能」などと言われ、それが一般的には資金力が限られる比較的若い世代の投資家からの人気の理由とも考えられます。これは、後で詳細に述べますが「レバレッジ」というFXの仕組みによるところが大きいでしょう。その意味では、長い時間をかけて資産を増やすといった「コツコツ投資」ではなく、比較的短期間に資産を増やしたいといった方がFXを選択するという傾向はありそうです。

日本経済の長期的な悲観論、それに伴う「円資産だけを保有するリスク」への対策として外貨資産を保有する、その選択肢の一つとしてFX取引を行うということは、これまでもあった考え方ですが、2022年に入ってから一段と意識されるようになった可能性があります。

2022年になり、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに大きく株価が下落する局面がありました。このような株価急落は、「リスクオフ」とも呼ばれますが、それまではリスクオフは円買いが基本とされてきました。ところが、この2022年のウクライナ情勢でのリスクオフ局面では円買いは限られ、むしろ円一段安に向かうところとなりました。

【図表】米ドル/円とNYダウの関係 (2021年1月~)

株安でも円高にならず、むしろ円安が急拡大するようになると、いよいよ資産を円建てだけで保有していて大丈夫かといった不安は強まった可能性があります。外貨建て資産への投資という選択肢を試してみる上で、FX取引を行うという考え方もその一つと言えるでしょう。

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