はじめに
違い3 「売り」から始められる
「違い」のその3は、FXの場合は「買い」だけではなく、「売り」から取引を始めることもできることです。株式投資の場合、信用取引などの例外はありますが、基本は「買い」で取引を始めることになりますので、この点もFXの特徴の一つです。
FXは通貨同士の売買なので、例えば米ドル/円といった通貨ペアで考えた場合、米ドルを売るということは、裏返せばそれは円を買うということなので、「売り」から取引を始めたと言えます。
違い4 金利差利益
「違い」その4は、金利差利益です。前述したように、通貨同士の売買であるFXでは、それぞれの通貨に付いている金利の差も利益の対象となります。世界屈指の低金利国・日本の投資家の場合は特に、相対的に高い外貨の金利に着目し、FXを選択するというケースは多そうです。
金融取引の利益は、保有するだけで安定的に得られる「インカムゲイン」と、売却することで得られる「キャピタルゲイン」に大別されます。FXの場合の「インカムゲイン」はこの金利差利益であり、それを専門的には「スワップポイント」と呼びます。足元の円安加速がアメリカの長期金利上昇が背景と言われるのは、この金利差を意識して低金利の円を売って、高金利のドルを買ってスワップポイントを狙う、という動きが広がっているためです。
違い5 レバレッジ
そして「違い」のその5は、レバレッジです。これは、元金の数倍の取引が可能な仕組みのことを指している言葉です。何度かのルールの見直しを経て、現在は元金の最大25倍までの取引が可能となっています。ちなみに、株式投資においても信用取引では、このレバレッジの仕組みがありますが、最大で約3.3倍ですから、それに比べるとFXのレバレッジの大きさは目立ちますね。
FXの魅力の一つとして「少額の資金でも取引が可能」といったことが取り上げられ、それこそがFXを投資家が選択する代表的な理由と推測されますが、それを可能にしているのがこのレバレッジという仕組みです。
ただ、これこそ「FX=ハイリスク」といったイメージの主因といってもいいでしょう。1998年からスタートしたFXは、これまで何度かのルール改正が行われてきましたが、その主軸の一つがレバレッジ上限引き下げに関するものでした。もともと規制がなく、元金の数百倍の取引を行うケースさえあったところから、上述のようにレバレッジ上限はその後25倍まで引き下げられました。
それにしても、なぜ「25倍」になったのか。その理由と、そしてそもそも「FX=ハイリスク」とされるものの、そのリスクはレバレッジ次第で投資家自身がコントロールできるものだということなどについては、また別の回で具体的に説明したいと思います。
以上、主に日本株投資と比べてみた場合の主なFXの「違い」「特徴」について見てきました。次回からは、これらの「特徴」を活かせない「失敗例」と、どう活用することで取引の優位性を高めことができるかについて、掘り下げて考察していきます。