はじめに

メタバースの発展にある3ステップ

どうやってメタバースが私たちの生活に浸透していくのか。そのロードマップには、次の三つがあります。

(1)世界中のゲーマーを取り込めるか
(2)タブレットやPC市場(職場や学校)を取り込めるか
(3)ポストスマホ(ARグラス分野)

コロナ禍の巣ごもり効果もあり、昨今VRヘッドセットは本当によく売れています。2020年はOculusQuest2だけでも約1,000万台くらい販売され、2022年は倍以上の2,000〜3,000万台(累計)という数字が見えています。

さらにソニーが「PlayStation VR2」を2022年にリリースすると発表。

アップル社もVRもARも対応したヘッドセットの発売を予定していますし、中国ではTikTokの親会社バイトダンスが、Pico(ピコ)というVRヘッドセットメーカーを800億円で買収したり、中国の映像配信企業アイチーイーが、4K解像度の新型一体型VRヘッドセット「Qiyu 2S」をリリースするなど、これまではメタ社のOculus Questの独壇場だったところ、さまざまなハードが揃うというのが2022年から2023年です。

ゲーム市場では、ゲーマーを確実に取り込んだ人気ハード機の目安が1億台でした。

これまでいちばん売れたゲームコンソールはソニーのPlayStation2で約1.6億台、次にPlayStation4で約1.1億台、さらに任天堂のWiiで約1億台です。Nintendo Switchも2022年2月に累計出荷台数が1億台を突破したと発表しました。

全世界のエンターテインメントの中でも音楽や映画を抜いて、ゲームがダントツの規模を誇っています。ソニーやマイクロソフトの決算の中でもゲーム市場がかなりの規模を占めているほど、一大産業になっています。

私は、VR関連で1億台という規模がいよいよこの3年以内に見えてくるのではないかと思います。そこまで来るとゲーム業界としても、かなり意味のある市場になってくる、これがまずは第一フェーズで、ここはクリアしたと見ています。

2021年8月にフェイスブックのAR/VR 部門FacebookReality Labsのヴァイスプレジデント、アンドリュー・ボズワースが、「Oculusのユーザー数が、自分たちの予想よりも早く1,000万人を超えることを確信している」とコメントしています。ゲームコンソールのマジックナンバーとして、1,000万台という数字があります。これを超えてくるとミリオンヒットなどが生まれやすくなり、ゲーム会社やIPホルダーにとっても意味のある市場になってくるので、彼らも本気になって参入してくるのです。

実際、VRゲームで「バイオハザード4」がリリースされたり、PlayStation VR2 専用タイトル「Horizon Call of theMountain」が発表されたり、とゲーマーの注目の人気IPタイトルも増えてきました。

そのため、ここ3年以内にトータル1億台で世界中のゲーマーを取り込むというのは見えているのです。

1億台の先でいうと、第2ステップのタブレットやPC市場をどう取っていくかが重要で、ここでのキーが職場や教育現場で「マストハブになる」です。

メタ社がVRワークスペース「Horizon Workrooms」をリリースしたのは、Zoomのポジションを取れるか、Officeと連携できるかで職場のマストハブになることが重要課題であったことが見て取れます。

さらに大事なのが教育分野です。語学、化学、歴史、数学などすべての教科において紙で見るよりもVRのほうが圧倒的にわかりやすくなります。

教育現場でタブレットはマストハブになってきていますが、同じくVRがそうなっていけばユーザー側もVRに慣れてきますし、何よりもゲーム機だと購入を渋る親御さんも勉強に役に立つものだと買ってくれるようになるかもしれない(笑)。

そのあたりはザッカーバーグもよく理解していて、彼は100億円規模の教育系スタートアップに向けたファンドを作っています。

実はゲームにはお金を出す投資家は多いのですが、教育はあまりお金にならないイメージもあるようで、なかなか教育分野でのスタートアップが出にくいという状況はあります。そこをザッカーバーグやメタ社を中心にイニシアチブをとって推進していくというのが第2ステップです。

第3ステップのポストスマホですが、これはVRではなくARグラスの分野になります。ARグラスの現在地として、アップル社が2022年後半から23年前半に初期型のARグラスをリリースする計画があります。さらにメタ社も現在開発中で同じく2022年後半にリリースされる予定です。グーグル社も2024年にリリース予定です。これらは日常的に着用できるモデルになると予想され、通話やバーチャル会議ができたり、スマホを触らずに情報を引き出せたり、という機能が期待されています。

こうなると私たちの仕事や生活スタイルはガラッと変わるでしょう。

ただ初期プロダクトローンチから定着するのに3年ほどはかかると見ています。

もし2022年後半にリリースが相次ぐとしたら、そこから3年後あたりが、2021年のVR元年に近いものになるでしょう。

いよいよ2025〜26年がAR元年となり、アーリーアダプター層で使われるようになってくるのではないでしょうか。そして、キャズム(溝)を越え一般の人々が使うようになるのは、その2〜3年後になるのではないかと思います。

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