はじめに

ガン罹患後の家計を改善させる方法は?

ご相談者が、どのようなガンに罹患し、早期なのか再発・転移した状態で発見されたのかが不明ですので、ケース1、ケース2のどちらの可能性が高いかは分かりません。ケース2の場合、子どもの進学コース次第で、家計に大きな影響が出そうです。これを回避するための方法は次の6つです。

(1)できるだけ仕事と治療を継続させて、安易に仕事を辞めない
(2)妻も働いて少額でも安定的な収入を得る
(3)「障害年金」の受給を検討する
(3)自宅の有効活用(売却、リースバック、リバースモーゲージ)
(4)家計の見直しを行い、支出全体を削減する
(6)教育費を抑える(親が負担できる教育費の上限を設ける、返済不要の給付型奨学金の活用)

ご相談者が65歳になり、公的年金の受給が開始すれば、個人年金74万円と合わせて294万円。妻も65歳以上になれば、妻の公的年金90万円と個人年金60万円が150万円増え、444万円になります。個人年金の受け取り期間が終了しても、公的年金だけで310万円。月額25万8,000円です。

もちろん、これだけでは十分といえませんが、前述の6つの方法を実践し、仮に、65歳時点の貯蓄残高を2,000万円にキープできれば、毎月5万円を0.1%で運用しながら、取り崩したとしても、33年3カ月は受け取れます。毎月10万円の場合は16年7カ月です。

厚生労働省「令和2年簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は男性81.64歳、女性87.74歳ですから、毎月10万円を取り崩しても、貯蓄が底を尽く頃には、夫が亡くなり、その生命保険を妻の老後資金として充当するといった考え方もできます。

試算にとらわれすぎず柔軟に対応を

いずれにせよ、これらの試算は、いただいたデータを踏まえた目安に過ぎません。細かな数字にとらわれるのではなく、傾向変動(トレンド)の要因を把握し、対策を講じることが大切です。

また、ガン告知を受けて、これからのことが不安になるのはよく分かりますが、ガン患者にとってより大切なのは、罹患後の3カ月、半年、1年など、短いスパンの見通しです。

その間、医療費やそれ以外の費用がどれくらいかかるのか、それに対して、高額療養費や傷病手当金、医療費控除、民間保険の給付金など、どれくらい還付や給付があるかをしっかり見極めましょう。

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