はじめに
異業種の人と積極的に話して、知識のかけ算をする
異業種の人の話を聞くことで、アイデアがかけ算されて成果が上がったり、悩みが解決したりということはよくあります。
私も先日、長年疑問に感じていたことが、異業種の人の話を聞くことで解決しました。ちなみに、その疑問とは「現場で成果をガンガンあげていた営業マンが、なぜ出世すると成果を出せなくなるのか?」というものでした。
もちろん全員がそういうわけではありませんが、これまで数万人に会ってきた経験から、出世すると仕事ができなくなる人をたくさん見てきました。
これを私は「きっと、出世をすると立場にあぐらをかいてしまって、努力をしなくなるのではないか」程度にしか考えていなかったのです。
しかし、人事コンサル業界のプロフェッショナル神谷悟先生が扱っている「人材アセスメント」という人事コンサルの技術に出会い、この問題は 単にやる気の問題ではなく、必要な能力を身につけていないことが原因であるということに、初めて気がつきました。
ビジネススキルと人材の関係性の分野において、「カッツの理論」という、ハーバード大学のロバート・カッツ元教授が提唱した法則があります。
これはマネジメントにおいて必要な能力を「専門的スキル」「対人スキル」「思考スキル」の3つに分けて整理したものです。
端的に説明すると、 現場レベルで必要とされる能力と、中間管理、トップマネジメント層で求められる能力では、まったく異なるということです。
だから現場レベルで目覚ましい成果をあげていたとしても、出世したときにその能力だけでは活躍できないことが多々あるのです。
具体的には、セールスで成功するためには「対人スキル」がもっとも求められます。
しかしマネージャーには「計画性」や「問題発見能力」「問いを立てる力」などが必要になるのです。 出世したときに、マネージャーとして必要とされる能力を磨いていなければ、活躍できなくてあたりまえなのです。
26歳で独立してしまった私には、これは目から鱗の話でした。
出世をしようという概念で仕事をしてこなかったので、「目の前の仕事を一生懸命やりさえすれば、リーダーとしての能力を十分身につけられる」と信じていたのです。
結論を言えば、これは大きな間違いでした。
ふだんいるコミュニティの外に、自分の成長がある
今回は「出世」に関する書籍ではありませんから割愛しますが、このように、自分の専門分野だけ学んでいたら見えなかったことが、異業種の方から話を聞くことで新たに見えてくることが多々あるのです。
会社員時代は、ついつい同じ職場の人とばかり一緒にいました。なぜならそのほうが心地いいし、社内人脈のほうが自分の出世にプラスになると思ったからです。
独立してからも、自分と価値観の合うコミュニティの人とばかりつき合っていたように思います。それでは井の中の蛙かわずになってしまって当然です。
ふだんの自分のコミュニティの外の人たちに出会うと、いかに自分の能力がまだまだなのか、自分のつくり出している結果がたいしたものではないか、ということを思い知らされます。
異業種の人と話をすることで、自分がいかに無知だったのかと、悔しい思いをすることも多々あるでしょう。
しかし、それでいいのです。
熟した果実は腐るように、「自分は成熟した」と思ってしまったら、そこからは腐るしかありません。
まだまだ未熟だと思うから成長できるのです。頭を叩かれるような経験をしたほうが人生偏差値も上がり、より魅力的になれます。
積極的に異業種の人と出会い、自分の居心地のいいエリアの外にある体験をたくさんしましょう。そうすることで人生偏差値が上がり、お金に困らない人生に近づいていくのです。