はじめに

GDPと金利の深い関係

GDPは金利にも関係が深いです。一般的には低GDPで、デフレ(物価が下がる状態)だと金利は低くなります。期待インフレが低いということは、その国の成長には疑問符がついている、ということになりますね。また、不景気の時には政府が政策金利を下げることで、個人消費や企業の新規投資を喚起して景気回復対策とすることもあります。とはいえ、金利が低いと銀行は利鞘が稼ぎにくくなってしまいます。

欧米では一般的に、GDPが2四半期連続でマイナス成長となった場合を景気後退=リセッションとみなしています。ここが投資家として見るべきポイントです。

アメリカの商務省が4月28日(木)に発表した2022年第1四半期(1〜3月)の実質GDP成長率(速報値)は1.0%プラス成長が予想されていましたが、それに対して結果は年率1.4%のマイナスでした。これはコロナ禍の影響を受けた2020年4〜6月以来となります。

アメリカでは個人消費や設備投資は強く、経済の堅調さを示しましたが、輸出の伸びが減っていることが影響した模様です。ただし、次に発表される2022年第2四半期(4〜6月)期のGDPは、ウクライナ情勢の影響や上海のロックダウンの影響を大きく受けることが予想されます。

つまり、もし2四半期連続でマイナス成長となればリセッションと判断され、利上げペースが鈍化する可能性もあります。ただ現状ではリセッション懸念が高まっているものの、FRBはインフレ抑制を重視しており、引き締め加速の姿勢は変わっていません。以前お伝えしましたが、金利は株価に影響するので、投資家の方は推移に注目してみてください。

なお日本では他の国に比べて発表時期が遅いことや、四季があるために季節変動が大きくブレが生じることもあり、押さえておきたい経済指標ではあるものの、株価への影響は限定的との見方もあります。

5月16日週「相場の値動き」おさらい

米小売り企業決算を受け、景気後退(リセッション)懸念が高まりました。またインフレへの懸念、スタグフレーション懸念も高まっています。

米5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は予想16.0に対して結果は2.6とネガティブサプライズとなったほか、コストの上昇やサプライチェーン問題などからウォルマートやターゲットなど米小売り大手の決算が軟調なことに対する失望売りが投資家心理を冷え込ませており、ダウ平均とS&P500は年初来安値を更新しています。

また地政学リスクの長引きが意識されるなかで、フィンランドとスウェーデンが5月18日(水)にNATOへの加盟を申請したことも注視しておきたいところです。

日本市場では5月20日(金)の東京株式市場の日経平均株価は、前営業日比336円19銭高の2万6739円03銭でした。5月13日(金)の日経平均株価の終値は2万6427円65銭でしたので、週間では311円38銭の上昇でした。

5月20日(金)に中国人民銀行が住宅ローン基準金利を引き下げたことにより、中国の景気回復期待が週末の相場を支えました。

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