はじめに

全国平均月収を目指し収入を上げたいところ

現在のご相談者さんの収入は手取りで月額16万5,000円です。この金額は世間相場からみてどうなのでしょうか。

総務省家計調査(令和2年度)によると、ひとり暮らしで仕事をしている34歳以下の女性の勤務先からの定期収入は24万7,000円、ボーナスを含めた年収÷12カ月では32万5,000円となっています。この32万5,000円のうち、税金や社会保険料として5万6,000円支払っていますから、1カ月あたりの手取り月収(ボーナスも含む)は26万9,000円
になります。

ご相談者さんの場合、月収(手取り)が16万5,000円、これにひと月当たりボーナス(手取り)が4万1,000円(50万円÷12カ月で計算)です。合計すると、ボーナスを含めた1か月あたりの手取りは20万6,000円と計算できます。

同年代の働く女性の全国平均月収に比べて、手取りで6万3,000円少ないことがわかります。この全国平均月収並みに収入アップができれば、いまよりも余裕をもって貯蓄ができるようになります。

転職の基準は「副業可」だけ?

副業や転職をして収入アップを目指したいという思いは、「会社が副業禁止なため、副業できる会社に転職しようか迷い中です」というご相談者さんの言葉にも表れています。

ただし、この言葉を読んで気になったことがあります。それは、「収入アップをするために給与の高い会社へ転職する」「やりがいのある会社に転職する」のではなく、たんに「副業できる会社」を求めているところです。

自分の仕事ぶりに対して今の給与が見合っていないというのであれば、適切に評価をしてくれる会社に移ることができれば収入はアップするでしょう。また、いまの業種や勤務先では限界がみえているから、もっと高い給与を得るために、スキルアップをして給与の高い業種に転職する、という考え方もあると思いますが、そのような気概もご相談者さんの言葉からは感じられません。

転職で収入アップを目指すやり方はいろいろあると思いますが、「副業をできる会社に転職」という言葉からは、本業での収入アップへの期待が見られないだけでなく、副業についても特に「これがやりたい」といったこだわりが見られないところがもったいないと思いました。

今後を見据えた転職の戦略を熟考しよう

このまま、同じ地域で今と同じ業種や職種でなんとなく転職活動をしても、会社を取り巻く状況は大きく変わらないため、大きく収入がアップするとは思えません。景気のいい業種を捜して転職する、時代に求められるスキルを身につけて転職するなど、なにか工夫や努力をしたほうが、これからの人生に役立つ転職ができるのではないでしょうか。

現在と似たような会社で「副業可」のところに転職した場合でも、これまで残業できずに空いた時間を、コンビニやファストフードなどの時間給のアルバイトで埋めることで収入を得ることはできるでしょう。それも悪くはありませんし、とても現実的な道だとは思います。ただし、それで同年代の独身女性の全国平均賃金との差額6万3,000円を埋めると考えた場合、時給1,000円だったとすると毎月63時間を副業に使うことになります。税や社会保険料の負担増を考慮せずに63時間です。かなりへとへとに疲れますね。

まだ29歳。ご相談者さんはたくさんの可能性を秘めていると思います。たんに時間を切り売りするのではなく、転職を考える今の時間を、よりやりがいを感じられる生き方、より自分の価値を高められる働き方を考える機会に変えてみてください。

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