はじめに

FX取引で損失を出してしまう「失敗例」の中でも、典型的なケースでよく使われる言葉に「コツコツドカン!」があります。聞いただけで、何となくイメージできそうですが、まさに「コツコツ」と積み上げてきた利益が、ある日突然「ドカン!」と吹っ飛んでしまった、というケースです。

今回はそんなFXトレードのどこに「間違い」があったのか考えていきたいと思います。


「ショック相場」に巻き込まれて利益消滅

私の記憶違いでなければ、2015年8月「チャイナ・ショック」後のことです。定期的に行っていたセミナーが終わった後、一人の女性のお客様が「相談してもいいでしょうか」と側にいらっしゃいました。そしてその方は、こう言ったのです。

「ずっと、あるクロス円の買いをやってきて、少しですが継続的に利益が出ていました。それがあの日の急落で、たった一日で利益が全て無くなりました。何が起こったのか、全く分からなかったので、怖くなってしまって」

後述しますが、クロス円とは日本円での米ドル以外の通貨ペアでの取引のことを指し、このケースはまさに典型的な「コツコツドカン!」と言えそうです。ではこの失敗の原因はどこにあったのか。私がとても印象的と感じたのは、この「何が起こったのか、全く分からなかった」という言葉で、これこそ「コツコツドカン!」の主因だと感じたわけですが、それがどういうことかについて、この後述べたいと思います。

その前に、「チャイナ・ショック」とは、2015年8月、中国による突然の通貨切り下げがきっかけで、世界的な株価暴落、リスクオフとなった出来事でした。その中で、とくに2015年8月24日、米ドル/円はたった一日で122円から116円割れ寸前まで、最大で6円もの大暴落となったのです(図表参照)。

通貨切り下げとは、固定相場制を採用している国が、為替レートの交換比率を対外的に引き下げることで、自国の通貨価値が下落します。通貨価値の下落により、輸出品の価格が下落するため、主に輸出先での価格競争力アップを狙った政策になります。

この中国での通貨切り下げに連なる形で、米ドル以外の外貨も、対円で暴落しました。相談いただいた「コツコツと積み上げてきたあるクロス円の買いの利益は、たった一日で全て消えてしまった」というのは、まさに「チャイナ・ショック」の急激な円高で起こった可能性があったわけです。

それにしても、一日で6円も米ドル/円が暴落すると、米ドル以外の外貨の対円取引であるクロス円も暴落したのは当然でしょう。ただし、それほどの値動きは、基本的には頻繁に起きることではありません。その意味では「中国の突然の人民元切り下げによる世界的な株暴落に巻き込まれた円高」で、せっかくのクロス円の上昇(円安)による利益が吹き飛んでしまったのは「何て運が悪かったことか」と、自らの不運で総括したくもなるでしょう。

確かに「コツコツドカン!」のほとんどは、年に何度あるかどうか、時には数年に一度の「××ショック」といった暴落によるものですから、巻き込まれて積み上げてきた利益が吹き飛んでしまうのは不運な面はあります。ただ「アンラッキーだったね」でも済まされない、その中で、投資家自身が反省すべき点もあります。

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