はじめに

会社は会社。自分は自分

世の中にはさまざまな会社があり、それぞれに企業独自の社風や文化があります。

その中には、サービス残業が常態化しているブラックな会社、年功序列で若手社員が活躍できない会社、上司に個室に閉じ込められて大声で恫喝されるパワハラ体質の会社なども、実際にあるでしょう。

そして、大事なのは「会社は会社」「自分は自分」という考え方です。

仮に、誰もが知る製品やサービスを展開する大手有名企業に勤めていたとしても、すごいのは自分ではなく、会社の方です。仮にブラックで薄給激務の会社に勤めていたとしても、悪いのは自分ではなく、会社の方です。

自分の置かれた不運な状況に絶望してしまう人もいるかもしれませんが、勤めている会社が散々な環境だったとしても、自分自身のことまで卑屈に考えることはありません。

どうしても「この環境は合わない」と思ったら、転職という選択肢もあります。

新卒で入った会社に長く勤めていると、どうしても「その会社で働いていること」が自己のアイデンティティーになってしまう人がいます。

しかし、「会社は会社」「自分は自分」と切り離して考えることが、きっと、特定の会社に長期的に依存せず「強いキャリア」を作っていくためのヒントになると思います。

2021年に総務省が実施した「労働力調査」によれば、25歳~34歳の転職希望者は全国で237万人と、同世代の5人に一人が転職を検討しているという結果になりました(総務省統計局「労働力調査」2021年(令和3年)7~9月期平均結果より)。

今の時代、転職は決して珍しいことではなく、もはや「当たり前のこと」になりつつあります。

また、よく勘違いしている人がいますが、今まで働いてきた会社を辞めたからといって、過去の経験や仕事での評価がすべて「無駄」になってしまうわけではありません。ゲームに例えると、転職は、「リセットボタン」ではなく「強くてニューゲーム」みたいなものです。

自分の目の前の仕事が無意味に思えたとしても、「○○業界での経験あり」「○○職での実務経験3年以上」という事実だけでも、転職活動では一定の武器になることがあります。

転職先の企業選びさえ間違えなければ、過去の経験は、何らかの形で必ず生きます。

あくまで前向きに、過去を上手く生かして先に進みましょう。

社内を見渡して、「20年後の自分」を想像する

「安定した大手企業だと信じていたのに、突然のリストラでクビを切られる」という話は、現実世界にもたくさんあります。

私がかつて在籍していた日系大手企業でも、以前、退職金割増しを餌にして40代以上の社員に何とか会社を出て行ってもらおうとする「大量リストラ」がありました。

最近では、それほど珍しい話でもないと思います。

変化の早い現代社会において、「雇用の安定」などというものは、もはや存在しません。トヨタ自動車の豊田章男社長さえも、2019年には「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と語っています(2019年10月13日、日本自動車工業会の会長会見にて)。

トヨタでさえも雇用を守れないのであれば、一体どの企業が、今後ずっと雇用を守れるというのでしょう? 今日時点では経営が順調そうに見える大手ブランド企業でも、10年後、20年後にはどうなっているかなんて、誰にもわかりません。

一方、今の会社に40代、50代になるまで残っていた場合、どんな経験やキャリアを積めるか? どんな働き方ができるようになるのか? というのは、その会社で5年も働けば、大体わかってきます。社内に、年代別のロールモデルがたくさんいますからね。

社会人として数年働いて、自分の「ビジネススキル」に少しずつ自信がついてきたら、将来どんなキャリアを歩んでいきたいのか、遅くても30歳までには、ある程度の道筋を見据えておくべきだと思います。

自分の上司や、社内で活躍している先輩を見ていて、「こんな風になりたい」とあこがれを抱けるなら、その姿を目指しましょう。

逆に、社内を見渡して「将来こんな風には絶対になりたくないな」と思ってしまうようなら、その時は、選択肢の一つとして、新しい環境と出会うために「転職」を考えるべきなのかもしれません。

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